アートワークは、サニーデイ・サービス、くるりでお馴染み、最近ではシャムキャッツ等気鋭アーチストのジャケットを手がける「小田島等」氏が担当。今回のジャケットも聴き手の心を揺り動かすの衝撃的な絵画がモチーフ。

 

 

 曲を作る鈴木さん自身の想像も超えるトリオの音楽は、10月9日(水)にリリースする初めてのフルアルバム「come here my dear」で聴くことができます。メンバー3人を含めて、総勢18人のミュージシャンがレコーディングに参加し、トランペットやホルン、バイオリンをはじめ、多彩な楽器が加わったアルバムに収録された曲はすべて、聴く人を優しい気持ちにさせてくれるように響きます。そうした穏やかで明るい雰囲気を持った、このアルバムが作られることになったのは、鈴木さんがRYUTistに楽曲を提供したことがきっかけでした。

 

「最初は、RYUTistのスタッフをやっているある方が、僕の活動を知っていてくれて、彼女たちの曲を作るようにと依頼があったんです。それで作った『サンディー』という曲がアルバム『柳都芸妓』に収録されました。そうしたら、自分のレーベルを全国展開している人が『サンディー』を気に入ってくれて、僕自身がTRIOをやっているなら、そのアルバムを作ってみないかと、声をかけてくれたんです」

 

■要するに、すべては良い意味で「ただのポップス」

 今や全国からも注目を集めるRYUTistの曲を通じて訪れた、その裏方を務めている新潟のミュージシャンにも自分たちの音楽を広く発信するチャンス。その結果として生まれたのが、鈴木恵TRIOの初アルバムだといえるでしょう。

 

「まさに、その通りだと思います。アイドルの曲を聴くことは、僕も好きですし、これからも自分で作れる機会があるなら、どんどん作っていきたいですね。それに、できる限り幅広く、誰にでも楽しんでほしいという意味では、僕が今、やっているTRIOの音楽も、バンドの曲も同じですから、ただ、それぞれのアウトプットの方法が違うだけなんですよ。要するに、全部が良い意味で、『ただのポップス』なんです」

 

 この鈴木さんの言葉が表す通り、鈴木恵TRIOのアルバムで聴ける音楽も、クラシックのオーケストラで使われる楽器の音がいろいろと加わってはいても、難しいところは少しもなく、ただ楽しく、耳と心をなごませてくれる、まさしく「ポップス」です。

 

「ただ、この1950年代から続いてきた『ポップス』を僕らが受け継いで、未来へ残していくということに関しては、考え込んでしまうこともあるんです。僕自身は今まで、自分が好きなポップスをCDや、さかのぼった時代のものはアナログレコードでも楽しんできました。でも、これからは『モノ』としてのCDやレコードに触れる機会は、どんどん減っていくのは間違いありません。だから、今度作ったトリオの初めてのアルバムは、『2020年代のポップス』はどうあるべきかということも意識して、完成させていったんです。インターネットを通じて聴けるデジタル化された音楽とは違う、ジャケットや歌詞カードも一体となった、聴覚だけじゃなくて、視覚でも触覚でも楽しめる全体で1つの『アルバム』を残しておきたいという気持ちがありました」

 

 このように、多彩な曲調や多くの楽器の響きとともに、鈴木さんのさまざまな思いが込めたれたアルバムのリリースに先駆けて、10月5日(土)・6日(日)の2日連続で、鈴木恵TRIOは、新潟市内でライブを行います。

 

「ライブは、音楽がどんなにデジタル化されても残っていくと思います。何より、お客さんと一緒に、音楽を通じて1つに空気、時間を作っていける。それが僕は大好きですから、会場に集まってくれる皆さんにも、同じ気持ちになってもらえるように、TRIOとして初めてのアルバムの曲を楽しんでいただくつもりです」

 

◎公演情報

COME HERE MY DEAR TOUR 2019新潟編1日目「先行レコ発ワンマンパーティー」

【会場】BLUE CAFE(新潟市中央区上大川前通1237−1 サンシャイン新飯田屋2F

【日時】10月5日(土)18時30分開演

【料金】前売2,000円、当日2,500円(1ドリンクオーダー制)  

【予約】 BLUE CAFE 025-201-7885/鈴木恵ホームページの予約フォームより

 

新潟編2日目「音楽百景#47」

2019年10月6日(日)

【会場】Kaffa蒼紫(パルム)(新潟市中央区古町通6-987 ミサワビル2F)

【日時】10月6日(日)19時開演

【料金】前売2,000円、当日2,500円(1ドリンクオーダー制)※限定25名

【予約】 パルム 025-228-2050/鈴木恵ホームページの予約フォームより

 

すずきさとしとりお●鈴木恵(Vo、G)、青木宏美(D、コーラス)、田邉周平(G、鍵盤楽器、コーラス)。2012年7月、初のシングル「毎日が8ビート」をリリース。新潟県内はもとより、東京をはじめ、全国でライブ活動を続け、曽我部恵一、カジヒデキ、RYUTistほか、多くのミュージシャン、アーティストとステージをともにしてきた。初のアルバム「come here my dear」に収録された「かなかも」は、上越市出身で「みいつけた!」(NHK Eテレ)のキャラクターデザインなどを手掛けている大塚いちおが作詞している。