「いつも月夜に米の飯」は、新潟で居酒屋を営む母の元を離れ、東京の高校に通う女子高生の千代里が、夏休み間近のある日、母親が失踪したという連絡を受け、新潟に戻ります。当初は反発する気持ちを周囲に当たり散らしていましたがおかみとして働くことになった千代里は、店を守ろうとする料理人・アサダや個性豊かな客の相手をしながら次第その楽しさに気付いていきます。そんな時、母親が突然帰ってきて……。という物語。山田さんは、身勝手な母親に振り回される女子高校生役ですが、山田さん自身と重なるところもあり、いろんな気持ちを理解できたといいます。

 

 

「(撮影)当時、千代里と同い年だったんですよ。千代里って思春期ならではの反抗心がベースにある。その気持ちって誰しもが通るじゃないですか。ちょうどその時、私はオーディションに行って落ちてみたいな経験をしていて。プライベートでのいろいろな気持ちも、演技でアウトプットするいい機会で、逆にスッキリしました。加藤監督からも、『考えないでそのままやってほしい』と言われていました。今あらためて作品を観ると、すごく滑舌悪いし、もっと(うまく)できると思うんです。でもこの作品には、まだ演技を始めたばかりの駆け出しの私にしか出せないことがたくさん詰まっています」

 

 劇中、新潟の郷土料理を中心にたくさんのおいしそうな料理が登場しますが、食事のシーンは難しかったといいます。

 

「実際に地元の方に作っていただいて、料理はすごくおいしかったんです。ただカメラの前で、あまりに普通においしく食事をしていたら『普通に食べてるだけじゃ…』って言われて。そこから見せ方も考えながら撮影に臨みました。本当に勉強になりましたね」

 

(c)2018「いつも月夜に米の飯」製作委員会

 

  一番印象に残っているシーンは物語の終盤、恋心を寄せていた料理人・アサダが出て行くシーンだそうです。

 

「あれはほんとにカメラが回ってない時も涙が止まらなくて。あのシーンのあのセリフは、本当に感情が高ぶって心から出ました。アサダ役の和田さんも口パクで『ありがとう』って言ってるんですけど、完全にアドリブなんです。試写で見た時、本当に泣きそうになりました」

 

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