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撮影快調! 矢口組、最新作で新潟ロケを敢行!!

 映画のテーマを徹底的に研究し、自ら脚本を執筆。「ウォーターボーイズ」(01年)、「スウィングガールズ」(04年)、「ハッピーフライト」(08年)、「ロボジー」(12年)、「WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜」(14年)など、大ヒット作を発表し続けている矢口史靖(やぐち・しのぶ)監督。前作「サバイバルファミリー」(17年)の公開から1年半が経過した、7月下旬、最新作の制作が発表されました。

 

 最新作「ダンスウィズミー」は、なんと矢口監督初のミュージカルコメディー。主演には、モデルで女優の三吉彩花さんを抜てき。吹き替えなしでミュージカルシーンを演じるため、クランクインの前から、歌とダンスのレッスンを受け臨んでいます。

 

 8月上旬、このロケが新潟で行われると聞き、特別に撮影現場を取材させていただきました。

 

 

 新潟での初日は、車のシーンの撮影。HARD OFF ECOスタジアム新潟脇の道路を封鎖し、撮影に臨みます。大勢のスタッフが車を取り囲み、撮影を見守ります。

 

 

 

 モニターを細かくチェックし、警官役の俳優さんに細かく演技指導。演技や表情だけでなく、スクリーンに登場する際のタイミングや位置、角度、出番が終わった後のはけ方など細かく指示を出します。

 

 筆者は映画の撮影現場が初めてだったのですが、矢口監督はモニターを見終えた後、とにかくよく動く。俳優陣への指導や要望を伝えるのはもちろん、スタッフへの指示なども動き回って自ら説明します。

 

 この日は23時近くまで撮影を行いました。

 

「撮影2日目」(次のページへ)

 撮影2日目、この日は万代テラス(萬代橋のたもと)での撮影。前日夜遅くまで撮影していたハズなのに、矢口組のみなさん、朝から元気に動き回っています。

 

 余談になりますが、この日は新潟の名菓を味わっていただこうと、現場に瑞花さんの「うす揚」を差し入れました。すると、

 

スタッフ「ニューズライン・町井さまより、お菓子の差し入れいただきましたー!ありがとうございまーす」

現場の皆さん「ありがとうございま-す」

 

と威勢のいい声が現場に響きました。しかも、その後、食べたスタッフの方がわざわざ私の方まで来て「おいしいですね、これ。ありがとうございます」とか、「マジ、うまいっすね!ごちそうさまです」「東京へ買って帰ります」など、ちゃんと感想とお礼を言ってくださることに驚きました。

 

 

 話を本題に戻します。ストーリーに関わるので詳細控えますが、この日は、川辺で歌うシーンの撮影。35度を超える猛暑日ではなかったものの、昼に近づくにつれ、太陽の日差しが厳しくなっていきます。そんな中も、監督は変わらず現場を動き回り、1カット1カット、非常に丁寧にリハと本番を繰り返していきます。

 

 

 

 午前中、4時間以上掛けて、さまざまな角度から撮ったシーン。それでも上映時間にしたら1分にも満たないといいます。こういった細かく、丁寧な撮影を繰り返し、ようやく作品が完成するということを実感しました。

 

 13時を回ったところで、午前中の撮影は終了。昼食前の時間を少しいただき、矢口監督にインタビューを敢行しました。

 

「矢口監督のインタビュー」(次のページへ)

 

―今回、なぜロケ地に新潟を選ばれたのですか?

矢口監督「本当は『新潟が好きなので…』とか言えればいいんだけど(笑)、今作は(主人公たちが)東京を出発して、新潟を通って、秋田、青森、札幌と移動していくんですね。その旅の行程で、どうしても新潟が出てくるんです。ただ、新潟はキャンペーンなどで過去に何度も来ているので、萬代橋とか知っていて。台本にはあまり迷いもせず、橋を渡るとか、河原でライブがあるとか頭で情景を浮かべながら書きました」

 

―(取材日は)ロケ2日目ですが、撮影は順調に進んでいますか?

矢口監督「順調です。非常にスケジュール通りにばっちり撮影できてます。この後も雨になるかもしれませんけど(笑)」

 

―今作は、矢口監督史上初のミュージカルコメディーです。どんなところから着想されたのですか?

矢口監督「ミュージカルの映画はたくさん観てきたんですけど、実を言いますと、好きな作品もあればなかなか入り込めない作品もあったんです。(入り込めない作品は)ミュージカルが苦手な人の理由はたぶん同じだと思うんです。『そこでなぜ歌いだすんだ、踊りだすんだ』ということ。(歌や踊りが)自然と入ってくればのれるんですが、それがうまくいってない映画だとのれなくなってしまう。なので、『突然歌いだす、踊りだすのにはちゃんと理由があるんだ』っていう映画をいつか作りたいとずっと思ってたんです。

 そんなとき「ラ・ラ・ランド」という映画が大ヒットした。ある種の事件として、すごく良かったと思います。あの映画が大ヒットして、日本でもみんな観ました。『日本だとミュージカルなんか作ったってどうせダメだ。作らないほうがいい』という風潮がずっとあったんですけど、変わりましたね。企画としてやりやすくなりました。あの映画以前とその後では全く雰囲気が違いました。雰囲気が全く変わったんで、これはチャンスだと思いました。

これまでの作品、もっと言うと『スウィングガールズ』の時から、ミュージカルシーンを入れようと画策をしてたんですけどね(笑)。結局やめちゃいましたけど」

 

 

「新潟の皆さんへメッセージ」(次のページへ)

―「ミュージカル」に特化した作品にした理由は?

矢口監督「そうですね。外国人が歌って踊るとそれは虚構の話として受け入れやすいと思うんです。でも、同じ日本人が現実の景色の中で歌ったり踊ったりするのは、やっぱり違和感があると思われてしまう。これはしょうがないと思うのですが、でもそこが面白いと思うんです。物語のあらすじになるのであまり言えないんだけど『本当は歌いたくないし、踊りたくないけど、なっちゃったんだもん、しょうがないじゃない』っていうのが今作のストーリーの根幹。なぜそこにミュージカルっていう映画を作ったんだっていう理由がストーリーと一致してるんですね。だからすごく作りやすかったです」

 

―そういう意味では必然性。自然とお客さんが入り込みやすくしている。

矢口監督「ミュージカルの必然がストーリーにあるからです」

 

―当然ご覧になるお客さんも、感情移入しやすくなるってことですね。

矢口監督「しやすくなるし、歌って踊らなくちゃいけなくなっちゃった人が、面白おかしく、かわいそうでありつつ、でも本当は歌いたくない踊りたくないって思っているかもしれない。そのシーンがちゃんと華麗で華やかで気持ちよく撮れるシーンに、観れるように作ってます。ミュージカルが嫌いで観たくないっていう人がたくさんいると思うんですが、その理由がこの映画の中に存在する。ミュージカル嫌いの人も観て好きになるんじゃないかと思っています」

 

 

―撮影はまだ序盤と伺っていますが、これからどんなシーンの撮影があるんですか?

矢口監督「今後も壮大なミュージカルシーンがたっぷり残っています。主役の子たちも歌と踊りを練習しながら毎日撮影もしてるので、そこの完成度がいい具合に仕上がって撮影できるか。常に時間との戦いですが、楽しみでもあります」

 

―最後に新潟で公開を待っている読者の皆さんにメッセージをお願いします。

矢口監督「新潟人なら誰でもわかる場所っていうのがたくさん出てきます。(みかづきの)イタリアンの屋台も出てきたりするので。新潟のなじみのある場所を映画の中で見つけられるのは新潟の人だけだと思うので、そういう楽しみ方もしつつ、新しいミュージカルを楽しみにぜひ観てほしいなと思います」

 

 撮影で忙しい中、気さくにインタビューに答えてくれた矢口監督。本当に楽しみな最新作は2019年に公開予定。今から待ち遠しいです! 公開されたらぜひ映画館でチェックしましょう!

 

◆作品概要
「ダンスウィズミー」
2019年公開(予定)
脚本・監督/矢口史靖 
出演/三吉彩花

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