女相撲の力士・花菊を演じるに当たって、最も大変なのは相撲を取るシーン。木竜さんをはじめ「玉岩部屋」に所属する女力士役の12人は、クランクインの2カ月前から週2のペースで日本大学女子相撲部の方々に稽古をつけてもらっていたといいます。

 

木竜さん「2カ月間、(女力士役12人)全員で行動して、みんなまわしを付けて、汗だくになって、練習終わりでシャワーを浴びて、ご飯を食べて帰るみたいな感じでした。すごく大変だろうなと想像していたんですけども実際やってみたら、想像よりもずっとずっと大変で。ホントに足が上がらなくて引きずりながら、声を出さないと動けないってこういう事なんだと思って。家に帰る帰り道で泣いて、もうすごい所に入っちゃったと思いました。でももうやるしかないし、頑張りたいって気持ちがすごくあったので、そこからは、みんなで一生懸命いっぱい食べるようになりました。(農村から出てきて、女相撲部屋に入り、逃げ場がないからやるしかないという花菊の心境に似ていた?)そうですね。すごくリンクしていたと思います(笑)

 でも、みんなで2カ月間一緒にやっていた分、共演者の皆さんともコミュニケーション取れていましたし、立ち会いのシーンも『こうしよう、ああしよう』って、直前まで声を掛け合いながらだったので、大変は大変だったんですけど、今までやって来たものを思い出しながらできました」

 

 

 肉体的にも精神的にもハードなシーンが多い中、木竜さんが撮影現場で感じたのは、瀬々監督の作品に掛ける圧倒的な熱さ。その情熱を感じながら撮影に臨んでいたと言います。

 

木竜さん「監督はあんまり口数は多くないですし、現場に入っていた時は、ほとんど話をしていなくって。でもすごく熱い方。厳しさの中にスタッフ・キャストに対しての愛情がものすごく深い方だと思います。誰より一番情熱を持って、現場に常にいらっしゃいました。

 演技の指導などはほとんどなかったですね。“自由”をテーマにした映画っていうのもあって、監督はたぶん全キャストに対して『自由にやっていいよ』と言っていたと思います。キャストがまず自由に動くのを見て、大きく違えば言いますし、その感じで良ければそのままにする。演出していただくときも、動きを言葉で伝えるよりも、気持ちを伝えるというか、情熱的におっしゃってくれる感じがすごく多かったですね」

 

 

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