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芸能生活31年を経て、KANが名曲を弦楽四重奏と再構築

 1990年代初めに「愛は勝つ」が大ヒットし、国民的アーティストとなったKANさんですが、それ以降もさまざまな音楽的試みに挑戦してきました。その成果の一つが、自作曲を自ら丁寧に編曲した弦楽四重奏の響きと共に奏でること。2017年3月には、その弦楽四重奏と共にレコーディングしたセルフカバーアルバム「la RINASCENTE」を発売。コンサートツアーも開催し、大好評を博しました。

 

 そして今年、10月10日にセルフカバーアルバムの第2弾を発売。続けて、コンサートツアーの第2弾をスタートし、11月10日(土)には、新潟で初開催されます。

 

 そんなKANさんに弦楽四重奏の編曲に取り組もうと思ったきっかけや、今ツアーの魅力をたっぷり語っていただきました。

 

 

「2012年に東京で、自分のツアーとは全く別に単発でライブをする機会があったんです。そこで今までにやった事のないことをやってみようと思って、弦楽四重奏と僕のピアノだけで演奏することを考えました。それまでも、ドラム、ギター、ベース、キーボードというバンドの基本形の上にストリングスをのせることは、レコーディングなどでしていましたが、その時に初めて僕と弦4人だけでどんなものができるか試してみたかったんです。そこで初めてコンサート用にカルテットのアレンジを十数曲作りました」

 

 「新しいことに挑戦したい」という探究心を原動力に、弦楽四重奏の編曲に取り組み始めたKANさん。音楽に関する知識も経験も豊富にお持ちですが、新たな編成での再構築は全く別物だったと話します。

 

「実際に編曲をしながら、今までやってきたバンドサウンドにのせるストリングスアレンジとは全く意味が違うんだと気が付きました。まず、ポップス音楽に不可欠なリズム隊であるドラムとベースがいない。しかも、弦楽器は基本的に単音楽器なので、その中でバリエーションを付けなければいけない。それを経験して、ものすごく難しいという事を知り、ちゃんと出来るようにならないといけないなと感じたんです。すごく難しいけれど、逆にこれが弦の編曲の基本であるような気がしたんですよね。4人と僕だけで、どれだけの事が出来るかをちゃんと突き詰められれば、今後またバンドの上にのせる弦アレンジを作る時も、もっと自由な発想になれるかもしれない。それで一度きちんと形にしたいと思い、CDを作ってコンサートツアーも昨年実現しました」

 

「制約がある中で、面白いものを作りたい」(次のページへ)

 

 こうして進んできた弦楽四重奏との制作。昨年の活動を通して多くの反響を受け、今年も第2弾となるセルフカバーアルバムの発売コンサートツアーの開催が決定しました。

 

 

「昨年セルフカバーアルバムを作ってツアーをやって、『まだやれる事はあるな』『すごく面白いな』と感じているうちに、第2弾をやりたいと思っていました。基本が独学というか自己流でやっているので、あとはもう経験を積むしかない。その都度、今まで挑戦したことがないやり方にトライしながら、弦楽四重奏の4人と僕とでやれる事をちょっとずつ自分で広げようという思いから始まった第2弾なんです。デビューしてから31年活動してきて、いろんなことは経験から予測ができるようになりました。でも、このカルテットに関しては、まだアレンジに取り組んで6年ですし、ツアーもやっと今回が2回目という自分の活動の中での経験がまだ非常に浅いものなので、とにかく自分の経験値を上げていかなければいけないという段階ですね。唯一僕の中で気分的に救いなのは、ロックやポップスのフィールドで弦楽器の編曲を自分自身でしている人があまりいないってことですね。たぶん僕を含めても数人くらいだと思うので、『これはやるべきだ』という気持ちで続けています」

 

 芸能生活31年を超えてもなお、ストイックに自身の音楽を追求しているKANさん。第2弾となる今年のツアーはどのようなものになるのでしょうか?

 

 

「この形のコンサートツアーは僕もまだ2回目ですし、お客さんもこのタイプはあまり見た事がないと思うんですよ。クラシックとしてはカジュアルすぎますし、ただロックやポップスにしては弦楽器が4人並んでいると、ちょっと緊張する気もしますし。当然最初から最後までピアノと弦楽器という同じ楽器を演奏するので、大きく音色を変える事は基本的に出来ないですし、物理的にステージ上を動くこともできません。そんな制約がある中で、これまでにやってきたバンドや弾き語りとは、全然違う面白いものを作りたいなと思っています。僕の活動の中で最も上品なコンサートであることは間違いないですね(笑)。ぜひ会場に足を運んでいただければうれしいです」

 

 

◆Concerto col Quartetto da Muroia 2018 

【会場】新潟市民プラザ 

【日時】11月10日(土)17時

【料金】7,000円(全席指定)

【備考】チケット/発売中

【お問い合わせ】キョードー北陸チケットセンター TEL:025-245-5100

 

 

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