多くの人の心に響く普遍的な魅力を持つ名曲を、地元･沖縄から発信し続ける5人組バンド･HY。結成から今年で18年を迎え、20周年のメモリアルイヤーへ向けたカウントダウンが始まりました。
「Road to 20thプロジェクト」の第1弾として8月8日に発表したのが、自身初となるトリビュートアルバム「CHANPURU STORY ～HY tribute～」。MONGOL800、加藤ミリヤさん、上白石萌音さん、清水翔太さんら、縁の深い10組のアーティストたちがHYの名曲をカバーしました。
新里英之さん（Vo、G）「たくさんの方々のおかげで、結成18年目を迎える事ができました。そしてこの先、20周年へ向けて『盛り上げていきたい』というメンバーたちの強い思いと、スタッフたちからのアイデアもあって、トリビュートアルバムのリリースへと繋がりました。アーティストのみんなが快く依頼を受けてくれて、その温かさや気持ちが、僕たちを祝ってくれたように感じてすごくうれしかったですね」
今作では、HYの地元･沖縄にゆかりのある方から、今をときめく新進気鋭の若手まで、豪華な面々がズラリ! 各アーティストの多彩な個性や才能を感じると共に、HYの楽曲自体が持つ魅力を再発見できる内容となっています。
新里さん「すてきなアーティストのみなさんに参加してもらいました。このメンツはすごすぎますよね! HYのくせにぜいたくです（笑）。シャイで人見知りの僕たちですが、18年間バンドを続けてきたからこそ、多くの仲間や素晴らしいアーティストに巡り会うことができ、このような作品を作ることができました。それぞれに好きな曲を自由に歌ってもらいたかったので、選曲はおまかせでしたね」
特に筆者の印象に残っているのが、同曲のミュージックビデオにも出演している女優の上白石萌音さんご本人がカバーした「HAPPY」。萌音さんの柔らかく透き通った歌声がオリジナルとは異なる余韻を生み出していて、楽曲の新たな側面を見せてくれたように感じました。収録曲はどれも、各アーティストが自分たちの色や個性をHYの楽曲に映し出しています。
新里さん「どのアーティストも自分の持ち歌のように歌っていて、それがすごくうれしかったですね。あと、アレンジもヤバかった! 僕たちからは、『こうしてほしい』とか『こんな歌い方で』とか、一切要望を言わなかったんです。それぞれの色に染まっているのが面白いですし、本家の曲よりも良いんじゃないかな～とも思ったり（笑）。結果として、純粋にたくさんの方に聞いてもらいたいと思えるくらい、最高の出来になりました。このアルバムが世間から知られないままでいるなんてもったいなさすぎる! たった一枚のアルバム、たった52分間の中で、いろいろな世界へ連れて行ってくれる。聴き終わったらそのアーティストに会いたくなる、そんなすてきな力が宿っていると思います。（特に印象的な曲は）全部です!! 本当に! そうそうたるアーティストたちの名前を見れば、その理由が分かるはず」
5人の思いと“ストーリー”が込められた、初めてのセルフカバー（次ページへ）
トリビュートアルバムに続き、8月22日には、ファンの人気投票で選ばれた曲を基に制作したベストアルバム『STORY ～HY BEST～』がリリースされました。今回、初めてのセルフカバーに挑戦されたのはなぜでしょう?
新里さん「ベストアルバムといえば、過去の楽曲を集めてリリースという形が多いですよね。でも僕たちはより深い作品を作りたくて、HYの“今”を感じてほしくて、応援してくれている方への感謝の思いを楽曲に込めたくて、もう一度レコーディングをやり直しました。当時とはまた違った感覚で歌えたし、昔と今じゃあ声も全然違う。歳を重ねる中で、さまざまな出会いや別れを経験した。だからこそ、歌や音色に強い思いを込める事ができました。あの日聴いていたHYの歌を“今のあなた”に聴いてほしいですね」
ベストアルバムの制作を通して、HYのみなさんもこれまでの活動の軌跡を振り返ることができ、結成20周年へ向けて思いを新たにしたといいます。
新里さん「僕たちが歩んできた道は決して平坦ではなく、大変な時期もあった。でも、とても価値のある、“いい道”をメンバーと歩んでこれたんだなと、レコーディングしながら実感しました。収録曲はリリース順に並べられているので、通して聴くことで、メンバー5人が同じ夢を見て諦めずに頑張ってきた、そんな“HYのストーリー”を感じる事ができると思います。実は、CDジャケットに使われているカラフルな『STORY』の文字は、琉球ガラスのカケラを使って、自分たちで手作りしたんです! 色とりどりのカレット（ガラスの破片のこと）一つ一つを、ファンのみんなの“思い”に例えて。たくさんの思いが詰まったこのベストアルバムと共に、この先も突き進みたいですね」
初期作「Deperture」「Street Story」をリリースした“結成当初の”HYと、その後18年間に渡り国内音楽シーンを走り続けてきた“今の”HY。比較してみると、それぞれに異なる魅力が見えてきます。
新里さん「当初のHYの魅力は無邪気に音を楽しんでいること。例えるなら“じゃれ合って遊ぶ猫”みたいな感じ（笑）。音楽を仲間と奏でて、純粋に楽しんで、笑い合う。そこから生まれた曲たちはその時にしか出せない青春の輝きを放っていて、真似したくてもできるものではないですよね。だから、今回レコーディングをやり直す時もかなり難しかった。『今までライブで何千回もやっている曲なのに!』って（笑）。当時に比べると、今はそれぞれのプレーにより個性が出ているかな。それらが結び合った瞬間の音は、“今の”HYにしか表現できない、18年間一緒にやってきたからこそ生まれる強い絆が込められた音になっていると思います」
そして、9月の沖縄公演を皮切りに、全国47都道府県を回るツアーが始まりました。ツアータイトルに入っている「うさがみそーれ めんそーれ そーれそれそれ ゆくいみそーれ」は沖縄の方言だそうですが、どのような意味と思いが込められているのでしょうか?
新里さん「ツアータイトルには、昔から沖縄の方言を入れてるんです。『うさがみそーれ』は『お召し上がりください』、『めんそーれ』は『ようこそ』、『ゆくいみそーれ』は『くつろいでください』という意味ですね。『ベストアルバムをリリースできたのはみなさんのおかげです。HYの音楽を一緒に楽しみましょう』という思いを込めました」
今回のツアーは、自身のヒットソングを始め、聴く人の人生に寄り添い続ける名曲たちを堪能できるベスト盤ツアーになるとのこと。来年1月20日（日）に開催される新潟でのライブへの期待も高まります!
新里さん「今回の全国ツアーでは、ベストアルバムに収録された楽曲を中心に歌っていきます。あの日、あの時、みなさんが聴いていた歌かもしれません。これまでの出来事や当時の気持ちを思い出しながら、そして“今の”自分を思いきり楽しめるようなライブにしたいですね! HYのライブは楽しいですよ～（笑）? ぜひこの機会にたくさんの新潟県民のみなさんに、あなたに! 遊びに来てほしいですね」
最後に、ライブを心待ちにしている新潟のファンへ向けてメッセージをもらいました。
新里さん「ライブに来てくれた方、一人一人の思いを受け止めながら、その思いが詰まった色とりどりの“カレット”を集めながら、会場を鮮やかに彩って、一緒にHYの音楽を楽しみたいと思います! ぜひ足を運んでくださいね」
◆HY STORY TOUR ～うさがみそーれ めんそーれ そーれそれそれ ゆくいみそーれ～
【会場】新潟県民会館 大ホール
【日時】2019年1月20日（日）開催 17時開演
【料金】指定席6,000円、親子席6,000円 発売中
【備考】3歳以上有料。2歳以下の子どもはチケット不要（膝上鑑賞可）。
ただし座席が必要な場合は2歳以下でも1名に付き1枚チケット必要
【お問い合わせ】FOB新潟 TEL:025-229-5000