サイトアイコン Komachi MAG.

LOVE PSYCHEDELICO、2人だけのアコースティックライブ開催

2000年にシングル「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」で、デビュー。この曲を収録し、翌年1月にリリースした1作目のアルバム「THE GREATEST HITS」が200万のセールスを記録。以来、国内外のロックの歴史を尊重しつつ、自分たちのペースで現代を生きる人たちの感性にフィットする独自の音楽を生み出し続け、確かな支持を集めているLOVE PSYCHEDELICO

 

これまで2人は、選りすぐられたミュージシャンたちのサポートを得て、自らの音楽を緻密に構築してきましたが、4月に配信のみで世に送り出したアルバム「“TWO OF US” Acoustic Session Recording at VICTOR STUDIO 302」は、初めてKUMIさんとNAOKIさんだけで作り上げました。しかも、使われている楽器のほとんどは、アコースティックなもの。なぜ今、このような形でアルバムを作ろうと思ったのでしょうか。

 

「アコースティックな楽器を使うことにした理由をたどると、昨年KUMIに子どもが生まれたことなんです。彼女がしばらく子育てに専念していたので、LOVE PSYCHEDELICOとして活動を再開するに当たって、まずは肩慣らしというのもヘンですけど、2人だけで今までの演奏の感覚を確かめたいと思って。だから、ライブも何カ所か場所を限って、少しずつ始めようと思ったんです。うれしいことに各地から声を掛けていただいて、結果的にはツアーという形になりましたが(笑)」

 

 

メンバーの1人であるNAOKIさんが語るように、活動再開当初は何カ所かでのライブだけを想定して始まったようです。しかし実際、2人だけで演奏をしてみると、それはメンバー自身にとって、とても新鮮な体験になったといいます。そして、「この体験を多くの人たちと共にしたい」という2人の希望が発展し、全国18都市20公演におよぶツアーに。6月13日(木)には新潟でもライブが開催されます。

「今回より前にも、2人だけでアコースティックライブをやったことが、一度もなかったわけじゃないんです。でも、今度は全く違う感覚がありました。というのは、僕らが一度、CDだったり配信だったり、もちろんライブでも、多くの皆さんに届けた曲は、もう僕らだけのモノじゃない。受け止めてくれた人たちみんなと、共有していると思っているからです。そうやって皆さんに愛されて、育ててもらった曲に、あらためてアコースティックという別のアレンジを施してみると、僕ら自身が今までにない印象を受けました。ある意味で、自分たちが作った曲に対して、とても客観的になれたんです。同時に僕ら自身の内面に眠っていた、2人がまだ気づいていなかった新たな感覚を呼び覚ましてくれた気もしました。その感じを、できれば多くの人に届けたい。そう思って、新潟の皆さんにも楽しんでもらえるライブをしたいと思ったんです」

 

「ずっと皆さんに育ててきてもらった曲も2人で演奏したい」(次のページへ)

 

 

アルバムでは、デビュー曲「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」から、現時点での最新曲、昨年末に配信限定で2人がリリースした「Sally」まで、全5曲がこれまでとは違うアレンジで聴くことができます。その印象は、これまでに皆さんが感じてきたものとは大きく異なるはずです。本作を絵画に例えるとすれば、構図は同じでも、別の色調、しかも限られた色の絵の具だけで描かれたもの。だからこそ、元の楽曲とは異なる印象を与えてくれるのでしょう。

「レコーディングは2人だけで、それも楽器はアコースティックなものが主体ですから、楽器自体も、その音を録音するためのマイクロフォンも、選びに選び抜きました。そうしたのは、僕らが演奏を通じて体験した感覚を、聴いてくれる皆さんにも、できる限り心地良く、いい音として感じてほしいと思ったからです」

 

 

楽器や機材を厳選しただけでなく、レコーディングする場所も、サザンオールスターズをはじめ、著名なアーティストたちが長年にわたって、数多くのヒット曲を生み出してきたスタジオを選んだそう。

「僕らには自分たちのスタジオがあるので、これまではそこでレコーディングしてきたんです。でも、今回は特別なレコーディングになる気がしたんですね。レコーディングというのは、そのとき、その場所で生まれた音を記録して、CDなり別の媒体なりに封じ込めていく作業ですから、その作業で長く多くの人たちに聴かれ続けてきた音楽が作られ、それが積み重なってきたスタジオには、何か特別な『気』みたいなものが宿っているんじゃないかと、僕は思っているんですよ。だから、僕らが今までとは違う感覚を抱いて臨むレコーディングに、そういう人間の意識を超えた、特別な何かにも加わってほしかったんです」

 

 

こうして2人だけでレコーディングをすることによって、今までとは違う成果が生まれたようです。

「今回は、2人でのレコーディングだったので、どの曲も事前にずべてを決め込まないで、何が生まれるか、そのときにならないと分からない、自由に演奏できる部分を多く残したままで臨んだんです。その結果、僕の内面に眠っていた、僕自身も初めて感じたことを演奏に込めることができました。それは、KUMIも同じだったと思います」

 

音楽の歴史を尊重することと並んで、今という時代だから可能な、2人の音楽を受け止める人たちとの新しいつながり方も、今回のアルバムでは試みています。
「このアルバムのレコーディングは、今年の3月初旬、すべてを1日で済ませました。それをアルバムとして発表するにあたって配信という形を選んだので、4月のうちに、多くの人たちに届けることができました。これをCDにしていたら、もっと時間がかかって、このアルバムが生まれたときの新鮮さがいくらかは損なわれてしまっていたでしょう。音楽が生まれたときから、その音楽が多くの人に触れるまでの時間差を、多少でも短くしたい。それも今回のアルバムで僕らが目指したことでした」

 

配信に加えて、2人は今回、ライブでも新しいテクノロジーを使って、これまでと違うコミュニケーションを会場に集まる人たちと取ろうとしています。

 


「音質もできる限り高い水準で聴いてもらえるアルバムを作ることを目指したので、ライブでも同じように、僕らの音楽を体感してもらえたらと考えたんです。それで、今回のツアーのために特注でスピーカーを作ってもらうことにしたんです。もちろん、新潟にもそれを持っていきますから、今までとは違う響きで楽しんでもらえると思います。アルバムに入れた曲のほかにも、ずっと皆さんに育ててきてもらった曲も2人で演奏したいと思います。会場でどんなふうに感じられるか、楽しみにしてください」

 

 

◎公演情報

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019

【会場】新潟市音楽文化会館

【日時】6月13日(木)18時30分開催 

【料金】6,500円(全席指定)

【備考】チケット/発売中。3歳未満入場不可。3歳以上要チケット

【お問い合わせ】FOB新潟 ☎025-229-5000

 

 

 

らぶ・さいけでりこ●KUMI(Vo、Gほか)とNAOKI(G、Bほか)の2人で1997年に結成。現在までに14作のシングルと7作のアルバムをリリース。2019年は、今回の9月下旬まで続くツアーを行うとともに、大型の野外ロックフェスティバルなどにも出演する。最新アルバムと同題のレコーディングの模様を撮影したBlu-rayがライブ会場とホームページ限定で発売中。

 

 

モバイルバージョンを終了