そして、今回の公演で特に印象的だったのは、シーンをまたいで幾度も登場した黒衣の存在。

 

リハーサル終了後に行われたインタビューで「黒衣」について、金森さんに教えていただきました。

「恩師であり、20世紀を代表する振り付け家であるモーリス・ベジャールが2007年11月22日の私の誕生日に亡くなったんです。その翌年の2008年から私自身の作風が変わりはじめ、年々恩師への思いは大きくなっています。そういった思いを元にこれまでの作品から黒衣にまつわるシーンを抜粋して、さらに、新作を作りました。どの作品、シーンもベジャールに思いをはせています。作品における、黒衣あるいは黒衣的な存在は、目に見えないけど確かに存在する、あらがいようのない大きな力の象徴です。作品ごとに背負っている意味合いは異なりますが、非常に多義的なもの。我々人間に影響を及ぼしているけれど、解明されていない存在ですね」

 

さらに、今回舞台装置として使っている「鏡」には、こんな意味があるそう。

「鏡は人間の文明の中で、我々の自我の確立や、『私とは誰か、他者とは誰か』という概念と密接に関係しています。さらに、舞台を見る上では最初に何を見て、次に何を見たかという時間の経過というものがありますが、鏡が映し出す像が反射して時間を超えて表れるんです。こうして、2008年から今までの我々の表現活動が、乱反射して皆さんの前に浮かび上がればうれしいです」

 

 

また、今回のリハーサルでは公開されなかった新作についてはトップシークレットとしながらも、作品に懸ける思いを教えてくださいました。

 

新作『Fretres Ⅰ』リハーサル Photo:Ryu Endo

 

「同時上演する新作『Fratres Ⅰ(フラトレス ワン)』は皆で友に行う群舞です。その皆というのも、今のNoismのメンバーにはフランス人や台湾人、中国人といった多国籍なメンバーがいますし、年齢や性別も多様です。そんな集団が共に祈るようにひたすら踊ることによって生み出される精神的な世界を、15年間新潟の街で集団的活動を続けてきた我々の信念として、ご覧いただければと思います。ぜひ、公演にいらしてください」

 

Noismの15年間の活動が詰まった、今公演。信じることを真摯に続けてきたという今の彼らだからこそ表現できる唯一無二の世界をその目で確かめてみてはいかがでしょうか?

 

 

◎公演情報

Noism15周年記念公演『Mirroring Memoriesーそれは尊き光のごとく』/『Fratres Ⅰ』(新作)

【会場】りゅーとぴあ・劇場

【日時】7月19日(金)19時、20日(土)17時、21日(日)15時 

【料金】一般/S席4,000円、A席3,000円 

    U25(25歳以下対象・入場時要身分証)/S席3,200円、A席2,400円

【備考】チケット/発売中。未就学児童入場不可

【お問い合わせ】りゅーとぴあチケット専用ダイヤル ☎025-224-5521