高視聴率を記録したドラマ「ショムニ」(NST)のオープニング曲「それじゃあバイバイ」で、1998年5月にデビュー。90年代末から2000年代にかけて、多数のヒット曲を放ったSURFACE。しかし、2010年6月のライブを最後に、惜しまれながらその活動に終止符を打ち、メンバーの椎名慶冶さんと永谷喬夫さんの2人は、それぞれ異なる道を歩むことになりました。椎名さんはソロシンガーとして、永谷さんはギター奏者としてはもちろん、ほかのアーティストに楽曲を提供する作曲家やアレンジャーとしても活動を続けてきました。

 

そんな彼らが、デビューから20周年にあたる2018年5月27日、東京都内でライブを行い、SURFACEとして再始動。年が明けてから制作を本格化させたという11年ぶりのニューアルバム「ON」を7月24日(水)にリリースし、その直後の28日(日)に、新潟市でライブを行います。

 

椎名さん「SURFACEとしての活動をまたいつか再開したいという気持ちは、2人ともずっと持ち続けていたんです。別に仲違いしたから解散したわけじゃないし、どちらかといえば当時、音楽の世界が大きく変化する中で、僕ら自身の意志というよりは、周囲の事情で、一旦は活動が止まってしまった。だから、それぞれが別の活動を重ねて身につけたことを持ち寄って、もう一度SURFACEの音楽を作り上げたら、どんな結果が生まれるか試してみようと、永谷が提案してくれたんです」

 

永谷さん「解散以降、それぞれ違った音楽活動を続けたことで、音楽家としての経験値が自分たちなりに上がったと思ったんです。その経験値を生かして、SURFACEとしての音楽を皆さんに提示できたら、きっといい反響が返ってくるんじゃないかという期待がありました」

 

椎名さん「年齢は僕の方が一つ上なんですけど、何かを始めるとき誘ってくれるのは、いつも永谷なんです。デビュー前に、音楽を一緒に始めた時もそうですし、SURFACEという形態でやってみようという時も、永谷から。そして、今回も再始動しようと言い出したのも、永谷です。皆さんから見て目立っているのは僕なんですけど、実はいつも受け身なんですよ(笑)」

 

 

SURFACEを再始動する意欲は解散直後からずっと持っていた2人でしたが、このタイミングで実現することになったのは根拠があったそう。

 

椎名さん「SURFACEを支えてくれた人たちの気持ちを考えたからですね。2010年に1度、活動にピリオドを打ったあと、それを惜しむ熱い声がファンの皆さんから本当にたくさん、僕らのもとへ届きました。加えて、僕ら自身も、活動を止めるという覚悟をしたわけですから、すぐに何の根拠もなく、また始めるというのは、ある意味で皆さんの思いを裏切ることにもなると思ったんです。だから、その根拠として、デビューから20年間SURFACEを支えてきてくれた皆さんへ僕らから感謝の思いを伝えるためにライブをやれば、納得してもらえるだろう。そう考えて、去年の5月に再始動することにしたんです」

 

永谷さん「それとともに、僕らが活動を休止して以降、音楽の世界はさらに大きく変わりました。以前は、多くの人たちに自分たちの音楽を届けるためには、メジャーレーベルからCDをリリースすることが大前提でした。それが今は、インターネットを通じて、いろいろな方法で多くの人たちに直接、音楽を届けることができます。同時に、音楽を作る過程でも、今のテクノロジーをうまく使えば、僕ら自身の意志をより具体的に反映させられるようになりました。そういう意味でも、今が再始動するタイミングだと思ったんです」

 

と話しながら、ニューアルバム「ON」は、メジャーレーベルからCDの形でもリリースされます。それには、2人のCDに対する特別な思いがあるからだといいます。

 

椎名さん「僕らは、もう覚えている人は少ないかもしれませんけど、今のものより小さい8センチのCDシングルを出せた最後の世代なんですよ。だから、CDに自分たちの音楽を収めるということは、自分たちがやったことを確かめる行為でもあるんです。それに、これからCDという媒体そのものがなくなるかもしれない可能性がある今、再始動したSURFACEの音楽をCDに封じ込めて、将来まで残したいという思いもありました」

 

「そう期待して、今度のアルバムを『ON』というタイトルにしました」(次のページへ)