ワクワクしながらりゅーとぴあ内の稽古場へお邪魔すると、すでに練習の真っ最中。室内は空気がピンと張りつめ、緊張感にあふれています。本番を控えたこの時期は、週に4~5回稽古が行なわれているのだとか。普段演劇をあまり見ない私は、はじめてみる稽古に大興奮でした。

 

 

この日の稽古を仕切っていたのは、今作の演出を手掛ける戸中井三太(となかい さんた)さん。自身も「劇団カタコンベ」を主宰されており、劇作から演技までをこなす、生粋の演劇人です。

 

優しく現場を指揮する戸中井三太さん

 

APRICOTの舞台には、在籍メンバー全員が出演。この日も、総勢59名のほとんどがそろっていました。メンバーの中には、プロの俳優をはじめとする演劇関係の仕事を将来的に志望している子たちもいるそう。すでにその方面に進路が決まっている高校3年生や、なんと長岡から参加している子もいるとか。レベルと意識の高さがうかがえますね。夢に向かってまい進する若々しいエネルギーを、肌で感じられました!

 

 

休憩中は、みんなで和気あいあいと、演出について楽しそうにおしゃべりする姿も。一転、戸中井さんの「行くよー!」の声がかかると、みんなの目が一瞬にしてモードチェンジ。当然ながら、練習だからという甘えなど一切ない鋭く力強い眼光に、こちらの気も引き締まります。

 

 

取材中に気になったのは、「箱馬」と呼ばれる木の箱。地面において重ねたり、手に持って大きく動かしたり。この道具を組み合わせることでさまざまな事物を表現するようです。この日見せていただいたシーンでは、列車の座席を表現するほか、杏さんが歌う背景でゆらゆらと動かし、感情表現のサポートにも用いていました。本来はセットの土台になるなど、表に出てくることのない道具ですが、今回はあえて演出に取り入れているそう。舞台表現の柔軟さと奥深さの一端を知ることができました。

 

 

 

 

さらに物語冒頭、旅立ちのシーンの通し稽古!

 

 

 

愛する故郷を離れなければならない辛さ、迫害から逃れられるという希望、さまざまな感情が拮抗するこの場面には、杏さんのソロパートが。 インタビューのときのあどけない表情とは打って変わって、静かに遠くを見つめる大人っぽい視線は、不安や希望などのニュアンスに満ちていました。そしてその歌声は、12歳とは思えない声量と表現力、稽古場全体の空気を支配するかのような圧倒的な存在感! 感情の込もったその歌に、思わず取材を忘れて聴き入ってしまいました。

 

 

もちろん、それを支える周囲のメンバーのコーラスも素晴らしかったです! 美しいハーモニーが見る人の感情をエスカレートさせ、物語の世界に没頭させます。盛り上げるときは元気いっぱいに体も使う、若々しくエネルギッシュな表現にこちらも楽しくなりました。

 

シリアスなストーリーが大人をもとりこにし、たっぷりの歌で子どもでも楽しめるAPRICOTの意欲作「リフカの旅」。夏休みはぜひご家族や友だちを誘って、非日常の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

◆APRICOT2019夏季公演『リフカの旅』

【会場】りゅーとぴあ 劇場 

【日時】8.10(土)~8.12(月・振休)開催 

【料金】700円(全席自由)

【備考】チケット/発売中。4歳から入場可。その他、公演詳細は公式HP参照

【お問い合わせ】りゅーとぴあチケット専用ダイヤル 

        ☎025-224-5521