■多くの人たちと過ごしてきた長い年月と時代の変化がもらたしたもの

 

多くの人とHYの楽曲を共有してきた経験が、HYの音楽を変化させ、さらなる進化を遂げてきたということがアルバム「RAINBOW」には表れています。

 

「僕らも含めて多くのバンドには、お客さんと一緒にライブで盛り上がってタオルを回す曲があります。だけど、タオルを回していた曲を、みんなで横揺れで踊れる曲にしたんですよ。横揺れにしたのは、この前、南米のペルーに行ったとき、この曲を現地の子どもたちに聴いてもらったら、その子たちがとても素敵な振りを考えてくれて、僕らはとても気に入ったので、その感じを取り入れました。そこから今度のアルバムにはタオルを回す曲を入れたいと思い、『大好きだもの』という曲をアルバムで聴いてもらえる形に作り上げたんです。ほかにも、ファンの皆さんが手紙やSNSで僕らに届けてくれた言葉から生まれた曲も、今度のアルバムにはたくさん収めています」

 

SNSをはじめ、HYが活動してきた20年の間に、人と人とをつなぐコミュニケーションの在り方や方法も大きく変化しました。そのことも、それ以前とは違った方法で、HYが音楽を生み出すことを可能にしました。

 

「今ではスマートフォンのアプリを使って、たとえ楽器が弾けなくても、誰もが簡単に音楽を作れるようになりました。それを僕らも活用して、ちょっとした曲の断片やアイデアをメンバー同士、メールでやりとりして、曲を作っています。そういうやり方だと、前とはかなり違った感じの曲もできるようになったんですよ。といっても、いかにも機械で作ったという感じの曲という意味ではなくて、よりメンバー同士が深く、細かいところまで気持ちを一致させて作った、そんな今の時代だから生み出せた曲。『RAINBOW』では、そういった曲も楽しんでもらえたらうれしいですね」

 

 

こうした時代の変化に加えて、メンバー自身が経験と年齢を重ねたことも、音楽的な可能性を広げている理由といえます。

 

「例えば、仲宗根泉は彼女自身が母親になって、娘に歌って聴かせるために『Oh! AIWO』という曲を作ったんです。この曲は、本当に個人的な思いから生まれた曲で、彼女としては最初、バンドで歌うつもりもなかったんですよ。でも、僕らほかのメンバーが『この曲をみんなに楽しんでほしい』と思ったし、今度のアルバムにピッタリだと考えて、入れることにしました」

 

「Oh! AIWO」は、アルバムで楽しめるほか、アニメ「キャラとおたまじゃくし島」(NHK総合・Eテレ)のテーマソングとして、すでに全国の子どもたちに親しまれています。また、アルバムの収録曲「HAPPY SHOWER」は、新潟の情報番組「スマイルスタジアム」(NST)のテーマ曲。新潟県内では耳にしている人も多いのではないでしょうか。

 

「この曲を作るために、僕は何度か、新潟をお訪ねしたんですよ。棚田を守っている皆さんにもお目にかかって、お話しさせていただきました。そのとき、皆さんの地元の自然や風物をとても大切にしていらっしゃる思いに共感を覚えて、生まれ育った場所の地名からバンドの名前を決めた僕らとも、どこか通じる何かを感じたんです。その何かが僕に作らせたのが、この曲です。いってみれば、新潟の皆さんと一緒に作った曲なので、できてから曲名は、番組のスタッフに決めていただきました」

 

 

■20周年を迎え、より良い未来が開けていくことを心に念じて

 

メンバーではない人たちに曲名を決めてもらう。このことは、HYの音楽が、今はメンバーだけのものではなく、その音楽を愛する多くの人たちのものになっていることの証しになっているのではないでしょうか。こうして多くの人たちに愛されている音楽を、結成20周年を迎える2020年1月18日(土)に新潟に届けてくれます。

 

 

「長く活動を続けてきて、HYの音楽を好きでいてくれる皆さんも、僕らと同じように年齢を重ねてきたと思います。中には家族を持って、今はお子さんがいるという人も少なくないかもしれません。HYの音楽と長い年月を送ってきた皆さんと、僕らが一緒になって、成人を迎えるHYというバンドを、より良い大人に、これからも育てていってもらえるような、そういうライブを今度はやりたいなと思っています。ライブ当日で終わるんじゃなくて、その先によりいい未来が開けていくように心に念じてステージに立ちます。20周年を迎えるHYをよろしくお願いします!」

 

 

◎公演情報

【会場】新潟県民会館 大ホール

【日時】2020年1月18日(土)18時開演 

【料金】指定席6,600円、親子席6,600円

【備考】チケット/発売中。3歳以上チケット必要。2歳以下膝上無料。

    ただし座席が必要な場合は2歳以下でも1名につき1枚のチケットが必要

【お問い合わせ】FOB新潟 ☎025-229-5000

 

 

えいちわい●新里英之(Vo、G)、名嘉俊(D)、許田信介(B)、仲宗根泉(鍵盤楽器、Vo)、宮里悠平(G)。2003年4月にリリースした2作目のアルバム「Street Story」が100万に達するセールスを記録。これまでに4度、全国47都道府県すべてを巡るライブツアーを行うほか、07年からはアメリカ、カナダ、台湾、韓国など、海外の国々をライブのためにたびたび訪れる。10年には「NHK紅白歌合戦」(NHK総合ほか)に初出場。11年には、メンバーの出身地である沖縄で、バンド自ら主催するイベント「SKY Fes 2011」を開催。それを発展させ、音楽、アート、伝統芸能を一体化させたアウトドアワークショップ「HeartY Village」を全国各地で続けている。