■曲を作ることで自分自身で発見することも

 

松室さんが人間としての自身の限界を知った上で、そこから希望を見つけようと作った「ハジマリノ鐘」。だからこそ、ただ根拠なく誰かを励ますのではなく、自然に共感を覚えられる曲になっているのではないでしょうか。

 

「こういう曲を作ると、自分でも思ってもみなかった言葉が思い浮かんだりして、あらためて自分がどういう人間か、気が付くこともあるんです。だから、これからも『ハジマリノ鐘』のような曲を作っていきたいと思いますし、その気持ちがシンガーソングライターとしての僕、人間としての僕の基盤であり続けると思います」

 

ご自身の基盤ともいう「ハジマリノ鐘」ですが、聴いたときに印象に残るのは、もちろん歌詞だけではありません。メロディー、そして曲全体の響きも、しっかりと心に届きます。そういう曲にするために、編曲は松室さんと、ロックバンド・Suchmosでギターを担当するTAIKINGさんが2人で手掛けたそう。

 

「TAIKINGと一緒に編曲をやったことを意外に思われる方が多いと思いますけど、実は彼とは以前から知り合いなんです。メジャーデビュー前は、僕がバンド形態でライブをやるときにギターでサポートを頼んだこともありますし、何より僕が初めて彼に編曲してもらおうと思ったのが、この『ハジマリノ鐘』だったんです。彼とは、やっている音楽の感じはずいぶん違うと思いますが、音楽の本質的な部分では本当に話が合うし、年齢も同じなんです。だから、この曲で僕が何をどんな曲として伝えたいかは、本当に深い部分で理解してくれています。彼のおかげで、歌詞に加えて、音楽として多くの人に届く曲にできた気がして、とてもうれしく思っています」

 

松室さんにとって、これからさらに大切な曲になっていきそうな「ハジマリノ鐘」は、昨年12月に新潟市で行われたワンマンライブでも披露されました。

 

「今回は、新潟では初めてのワンマンライブだったんです。リリース前に、『ハジマリノ鐘』を聴いていただけたことで、気持ちが新たになりました。これからも、いい曲を作り続けて、また新潟の皆さんにお届けできるように、できる限りのことをやっていきたいと思っています」

 

 

◎リリース情報

最新EP「ハジマリノ鐘」3月11日(水)発売

ハジマリノ鐘/にらめっこ/My Hero/どんな名前つけよう/マーマレードジャム

全5曲収録

★M1「ハジマリノ鐘」先行配信中!

 

 

まつむろ・せいや●1990年1月4日生まれ。大阪府出身。高校生のときから本格的な音楽活動を始め、10代限定の音楽コンテストでファイナリストに選ばれる。その後も大阪でライブを続け、22歳のときに上京。東京に拠点を移し、18年にスキマスイッチが行った全国ツアーでオープニングアクトを務めた。19年6月には、シングル「僕は僕で僕じゃない」をリリースしている。