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松室政哉「人間としての基盤を表せた曲をお届けしたい」

小学生のときにサザンオールスターズの曲を聴いて音楽に目覚め、ご両親に頼み込んでオモチャのピアノを買ってもらい、独学で作曲を始めたというシンガーソングライターの松室政哉さん。2017年にメジャーデビューを果たし、翌年秋には初のアルバム「シティ・ライツ」をリリース。独特の視点から現実をとらえた歌詞とすんなり耳に入ってくるメロディー、そして優しく響く歌声で着実に支持を伸ばしています。

 

2019年12月に先行配信した新曲「ハジマリノ鐘」を含む全5曲を収録した同題のEPを3月11日(水)にリリースする予定の松室さん。昨年行われた新潟でのライブで披露された新曲は、これまでと少し違った印象を持つものでした。 ここでは、松室さんご本人に新たな作品について語ってもらいました。

 

「この曲を作ったのは、実はかなり前のことで、今までもライブでは歌ってきたんです。ただ、 2018年に発表したアルバム『シティ・ライツ』 は、映像に撮るように客観的に描写した曲で、 群像劇のような内容に統一したいと思っていて。『ハジマリノ鐘』はどちらかといえば、自分や身の回りのことに向き合って作った楽曲だったので、その時は取っておくことにしたんです。だけど、アルバムが皆さんにキチンと届いたと実感できたので、今度はこの曲を多くの人に届けたいと思いました」

 

そうご自身が語るように、「ハジマリノ鐘」は松室さんが現実にしっかりと向き合って、心の内から生まれてきた言葉を優しいメロディーにのせて歌っていると感じさせてくれる曲です。

 

 

「僕の中では、より個人的な内面を表現したくて作ったのがこの曲なんです。世界全体という と大げさですけど、僕自身のことでも自分一人の意志や努力だけではどうにもならない、変え られないことがほとんどだと思うんです。一方で、誰かにしてもらったことや、偶然かけられた言葉でポジティブな気持ちになれることもありますよね。僕一人だけだったら自分がどういう人間かは分からないし、何をすればいいかも決められないけど、大勢の人と関わったり、言葉をかけ合ったりすることで、初めて自分を認識できる。そして、何か具体的に僕にできることを見つけられるかもしれない。そうやって現状にはない希望を見出せるんじゃないかということを、この曲では伝えたいと思ったんです」

 

「いい曲を作り続けて、また新潟の皆さんにお届けできるように」(次のページへ)

 

 

■曲を作ることで自分自身で発見することも

 

松室さんが人間としての自身の限界を知った上で、そこから希望を見つけようと作った「ハジマリノ鐘」。だからこそ、ただ根拠なく誰かを励ますのではなく、自然に共感を覚えられる曲になっているのではないでしょうか。

 

「こういう曲を作ると、自分でも思ってもみなかった言葉が思い浮かんだりして、あらためて自分がどういう人間か、気が付くこともあるんです。だから、これからも『ハジマリノ鐘』のような曲を作っていきたいと思いますし、その気持ちがシンガーソングライターとしての僕、人間としての僕の基盤であり続けると思います」

 

ご自身の基盤ともいう「ハジマリノ鐘」ですが、聴いたときに印象に残るのは、もちろん歌詞だけではありません。メロディー、そして曲全体の響きも、しっかりと心に届きます。そういう曲にするために、編曲は松室さんと、ロックバンド・Suchmosでギターを担当するTAIKINGさんが2人で手掛けたそう。

 

「TAIKINGと一緒に編曲をやったことを意外に思われる方が多いと思いますけど、実は彼とは以前から知り合いなんです。メジャーデビュー前は、僕がバンド形態でライブをやるときにギターでサポートを頼んだこともありますし、何より僕が初めて彼に編曲してもらおうと思ったのが、この『ハジマリノ鐘』だったんです。彼とは、やっている音楽の感じはずいぶん違うと思いますが、音楽の本質的な部分では本当に話が合うし、年齢も同じなんです。だから、この曲で僕が何をどんな曲として伝えたいかは、本当に深い部分で理解してくれています。彼のおかげで、歌詞に加えて、音楽として多くの人に届く曲にできた気がして、とてもうれしく思っています」

 

松室さんにとって、これからさらに大切な曲になっていきそうな「ハジマリノ鐘」は、昨年12月に新潟市で行われたワンマンライブでも披露されました。

 

「今回は、新潟では初めてのワンマンライブだったんです。リリース前に、『ハジマリノ鐘』を聴いていただけたことで、気持ちが新たになりました。これからも、いい曲を作り続けて、また新潟の皆さんにお届けできるように、できる限りのことをやっていきたいと思っています」

 

 

◎リリース情報

最新EP「ハジマリノ鐘」3月11日(水)発売

ハジマリノ鐘/にらめっこ/My Hero/どんな名前つけよう/マーマレードジャム

全5曲収録

★M1「ハジマリノ鐘」先行配信中!

 

 

まつむろ・せいや●1990年1月4日生まれ。大阪府出身。高校生のときから本格的な音楽活動を始め、10代限定の音楽コンテストでファイナリストに選ばれる。その後も大阪でライブを続け、22歳のときに上京。東京に拠点を移し、18年にスキマスイッチが行った全国ツアーでオープニングアクトを務めた。19年6月には、シングル「僕は僕で僕じゃない」をリリースしている。

 

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