■鼓童との出会い、そして新潟との出会い

 

そんな鼓童での活動を経て、現在はソロプレイヤーとして活躍している狩野さんは佐渡島での生活を続けています。佐渡島のどんなところが狩野さんを引きつけたのでしょうか?

 

「鼓童に入るまでは、新潟には来たことがなかったんです。でも、佐渡をはじめて訪れたとき、やっと私が探していた日本を見つけた気がしました。木と瓦でできた家が並んでいて、その頃はコンビニもなくて。海や山もとてもきれいだし、空気も澄んでいて。そして、佐渡の人たちは自給自足の生活を基本にしながら、実は郷土芸能や民謡、能を極めてる方が多いんです。そんな美しい風景や文化的な暮らしに感銘を受けました」

 

こうして、佐渡での暮らしを33年以上続けながら世界を舞台に活躍している狩野さん。2020年2月に発売されたニューアルバム「MATSURI 〜世界の風〜」には、幅広いジャンルの音楽を通して経験を積んできた狩野さんの魅力が詰まっています。

 

 

「私は篠笛という日本古来の笛の奏者ですが、もはや邦楽という枠ではないんですよ(笑)。フォーク、ロック、ジャズ、そして鼓童を経験してきた私が、私らしく演奏するのが楽しいんです。今作では、ラテンやフラメンコなどの要素も取り入れています。最近はカバー曲でも、『篠笛で自分らしく吹ければ自分のオリジナリティーだ』と思っているので、ジャズのスタンダードを私が吹いたらどうなるんだろうと、カバー曲も楽しみながら演奏しています。日本に限らず、ジャズでもラテンでもフラメンコでもアフリカンでも素敵だなって思ったら、笛を持って現地に行っちゃう。今作は多様なジャンルに私らしい、篠笛らしいメロディーをつけて、レコーディングメンバーとライブを重ねながら作っていった楽曲をまとめました。自分でも完成したCDを毎日聴いているんだけど、めちゃくちゃいい(笑)。最初は、決め事の少ない自由な音楽って何回か聴いたら飽きちゃうのかなって思ったのね。でも今回のレコーディングでは自分たちがびっくりするくらいミラクルなことが起きてるんです。それって何度聴いてもドキドキするんですね。その素敵なドキドキは、みなさんにもきっと伝わると思うんです」

 

狩野さんのオリジナルに加え、童謡「七つの子」やジャズのスタンダードとしても知られる「My Favorite Things」などのカバーを収録した全12曲を通して、篠笛の多彩な表現を存分に堪能できる本作を携え、4月から全国ツアーを開催。新潟では、佐渡市の金井能楽堂と、新潟市・りゅーとぴあ 能楽堂の2カ所でアルバムの世界観を体感できます。

 

「私は東京出身でニューヨークにも行ったけど、今では佐渡、新潟から世界に通用するものを作り続けるというのがライフワークになっています。だから全国ツアーもスタートは佐渡、そして新潟。能楽堂という空間で、和の雰囲気がどんどんラテンやフラメンコに移行していって、最後は国籍もなくなり、ジャンルなんてどうでもよくなる感じになればいいなと思っています。どの曲も、大枠はメンバーと共有しながらアプローチを毎回変えて、いつもフレッシュな音楽を届けたいですね。舞台に立つのが怖くて逃げ出したいと思っていた時期も過去にはあったけど、今は舞台に立って、素晴らしいメンバー達とお客さんの前で笛を吹けるのが一番幸せ。一人でも多くの人と、その幸せな時空を共有できたら嬉しいです」

 

 

 

そう、幸せそうな笑顔で語ってくれた狩野さん。七色に変わる篠笛の音色と、バンドメンバーと共に紡ぎ出す深いグルーヴを会場で味わってみてはいかがでしょうか?

 

◆公演情報

狩野泰一  篠笛 WORLD MUSIC<佐渡発、篠笛MUSICのさらなる新境地>

【会場】佐渡市 金井能楽堂

【日時】2020年4月4日(土)開演18:00

【料金】前売3,500円、当日4,000円(高校生以下無料)

【備考】チケット/発売中

【お問い合わせ】藤井 ☎090-7526-2641

 

狩野泰一 篠笛 WORLD MUSIC<新潟発、篠笛MUSICのさらなる新境地>

【会場】りゅーとぴあ 能楽堂 ※延期となりました

【日時】2020年4月5日(日)開演18:30

【料金】前売り/一般4,500円、学生2,000円、高校生以下1,000円(全席自由)

    ※当日各500円増し
【備考】チケット/発売中。未就学児入場不可。小中学生は要保護者同伴
【お問い合わせ】J-コンチェルト ☎090-9425-8824(高橋)E-mail:j.concert.concert@gmail.com