■「思っていることを素直に歌詞にすることがわたしの中で一番大切なこと」

 

葛藤を乗り越え、今は音楽に楽しく向き合えているというKarin.さん。高校卒業を目前に控えた2020年2月にリリースしたセカンドアルバム「メランコリックモラトリアム」には、今のKarin.さんの感情が詰まっています。

 

「高校生としてリリースできる最後の作品って考えたときに、これを出したら大人にならなきゃいけないなって思ったんです。でも、大人になることを考えたときに、不安や憂鬱(ゆううつ)を感じて。そんな子どもと大人の境目で揺れ動く思いをタイトルに込めました。『このタイトルじゃなかったら海に沈みます』ってスタッフさんに宣言したくらい(笑)。納得のいくタイトルに決まってすごくうれしいです」

 

 

タイトル通り、本作に収録されている8曲には、子どもと大人の狭間にいるKarin.さんだからこそ描ける世界がぎゅっと詰まっています。本作の1曲目に収録されている「命の使い方」もその一つ。シンプルなピアノ伴奏にのせられたKarin.さんの切実なメッセージが胸にじんわりと響きます。

 

「自宅のある茨城から東京に向かう間、特急に乗って1時間半くらいかかるのですが、いつも映画やアニメを見ているんです。それで『ムーミン』を見ていた時に、人間性を否定され続けて、声も形もすべて消えてしまった『ニンニ』というキャラクターが登場して。それを見たときに私はニンニのことを何も知らないのに、この回だけを見てかわいそうだなって決めつけてしまったんです。でも、そう思ってしまう自分が一番かわいそうだと気付いたときに、なんで生き方に正解とか不正解とか求めたがるんだろうって疑問が浮かびました。自分から命を終わりにする人もいますが、その人達を美化したり、一方でもったいないって他者が決めたりすることは間違っているんじゃないかと思ってこの曲を作りました」

 

この曲の中では、正解が提示されているわけではありませんが、聴く人に「命の使い方」を考えさせる大きな力を持っています。Karin.さんの歌がここまで説得力を持っているのは、Karin.さん自身の強い思いが込められているからこそ。

 

「思っていることを素直に歌詞にすることが私の中で一番大切です。ずっと『ここで本音を言ってしまったら、場の雰囲気が壊れてしまうかもしれない』って空気を読むタイプでした。でも言わないと伝わらないこともあります。自分の思い通りにならないまま物事が進んでいって、ずっとモヤモヤして。でも、歌にしたら自然と自分が思っていることを、言えるようになりました。それに、ほかの人には私みたいに自分の気持ちを押し殺してほしくないって思ったんです。今まではずっと人任せにしていたので、つらい思いや今まで感じてきたことを表現するなら、その役目を果たすのは私がいい。日記を公開しているみたいで最初は戸惑いもあったけど、聴いてくれている人が『私だけじゃない』って感じてくれることで、私自身も救われているといつも感じています」

 

Karin.さんの言葉からは、これから進む道への覚悟と決意、自分を見つけてくれたリスナーへの感謝の気持ちを感じました。そんな彼女の歌を5月には新潟で聴くことができます。初という新潟でのライブは絶対に見逃せません。

 

「今日人生で初めて新潟に来ました。お米がすごく好きなので地元(茨城)の納豆と食べたいなって思っています。ライブはバンド編成で、自分のやりたいことをそのまま歌にします。ぜひ自分の生活を思い浮かべて聴いてもらえたらうれしいです」

 

丁寧な言葉で素直な気持ちを話してくれたKarin.さん。歌を通して感じていた、彼女の不思議な引力の理由に触れられたような気がしました。Karin.さんの歌声をライブで聴けることが、今からとても楽しみです。皆さんもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

 

 

◎公演情報

NIIGATA RAINBOW ROCK 2020

【会場】新潟市内11会場

【日時】2020年5月4日(月・祝)12時開催※開催中止となりました

【料金】4,500円(スタンディング)

【備考】チケット/発売中。未就学児入場不可。詳細はHP参照

【お問い合わせ】キョードー北陸チケットセンター TEL:025-245-5100