難しいから楽しい。楽しいから夢中になれる。

 

実際の介護施設ではレクリエーションの一環として、童謡や唱歌、歌謡曲を歌うことが少なくありません。しかし、劇中で歌われるのはバリバリのロック。

中尾さん演じるかつての大スター・矢沢マリ子が、認知症を患っている元ロッカーや元ギタリストなどを巻き込み、ロックバンドを結成します。

 

「実際、私の同期(1962年デビュー)はThe BeatlesやTHE ROLLING STONESなの。青春時代、そういう音楽で育ったのよ。逆に童謡とか唱歌っていうのはあまり知らないし、日本の童謡って歌詞がすごく難しい。みんな記憶があいまいで、間違って覚えてたりするじゃない? 本当は、青春時代に聞いていたロックを求めていたりするのよ。だからこのミュージカルは、介護施設のヘルパーさんたちに対して、そろそろやり方を変えようよっていう提案でもあるの」

 

劇中では実際に出演者たちによる迫力満点の生演奏が披露されます。

 

 

「生演奏は再演のたびに難しいことにチャレンジしてもらってます。そのほうが、本人たちも楽しいし、努力をすればできるようになるから、この歳になっても成長できる部分があるんだって実感してもらえるの。おかげで演奏のレベルがだいぶ上がっています(笑)。手前みそじゃないけど、拍手の質が違うんです。他のミュージカルでは生で演奏することはあまりないから、観客のみなさんは気迫や熱にびっくりすると思うわ」

 

再演を重ねるうちに、ステージ上ではもちろん、練習でも生き生きとしている共演者を間近で見てきたことで、中尾さんのなかにある思いが浮かんだといいます。

 

「実際にこのミュージカルの出演者は80歳前後の人がゴロゴロいて、みんな元気に楽しんでくれています。だから、この作品を続けているうちに、こういうデイサービスが本当にあったら楽しいなって、思うようになったの。日々、自分たちが好きなことをして過ごすって楽しいじゃない。これはたまたまロックバンドだけど、その人の個性に合った、あそこに行きたいって思えるようないろんな形のデイサービスが増えていったらいいですね」

 

年齢を重ねてもなお、輝き続けている中尾さん。

好きなこと、楽しいと思うことに本気で取り組むことが、輝き続ける秘けつのようです。

 

「いくつになっても何か始める事を恐れる事はないです。やりたい事が見つかったら始めて、最後まで楽しい人生を送ってほしいなと思います。このミュージカルみたいに(笑)。本当に自信作に仕上がっていますから、ぜひぜひ、みなさんお誘い合わせの上いらしてください」

 

音楽の純粋な楽しさ、新しいことに挑戦することの素晴らしさを感じられるミュージカル「ザ・デイサービス・ショウ ~It’s Only Rock’n Roll~」。

春にぴったりの陽気なミュージカルに、足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

 

◆公演情報

オリジナルミュージカル ザ・デイサービス・ショウ ~It’s Only Rock’n Roll~新潟公演

【会場】新潟県民会館 大ホール

【日時】4月26日(木)13時

【料金】6,000円、ペア券(2枚1組)10,000円(全席指定)

【備考】チケット/発売中。未就学児入場不可

【お問い合わせ】新潟県民会館 TEL:025-228-4481

【出演】中尾ミエ、尾藤イサオ、光枝明彦、モト冬樹、正司花江、初風諄、田中利花、土屋シオン、tohko