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【岸谷五朗さん・寺脇康文さん特別インタビュー 3/3回】新潟で「いい芝居ができた」と実感したい

 俳優の岸谷五朗さん、寺脇康文さんによる演劇ユニット・地球ゴージャスの最新作ダイワハウスSpecial 地球ゴージャスプロデュース公演 Vol.15「ZEROTOPIA」が、6月には新潟でも開催されます。

  前回、「今作のキャスト陣」について熱く語ってくれたお二人。最終回となる今回は、物語の内容について語っていただきます。

 

 

 出演者としてだけでなく、作・演出も手掛ける“座長”の岸谷さんが、今作に並々ならぬ情熱を燃やしていることは前回までのインタビューを読んでいただければ明らか。と同時に、盟友である寺脇さんも、今回の公演に熱い思いを抱いています。

 

寺脇「地球ゴージャスの公演では毎回、五朗ちゃんが『それまでにない寺脇をお客様にご覧いただこう』と芝居を書いてくれるんですが、その思いを今回は特に、強く感じますね。いつも以上に、僕を頼りにしてくれている気がします。なぜかというと、僕が舞台の上にいる時間が長くなりそうだからなんですよ。作品によっては幕が開いて、ずいぶん時間が経ってから僕が出る、なんてこともありましたから(笑)。「ZEROTOPIA」では、お客様に長く、舞台上にいる僕を観ていただけると思います」

 

 

 「頼りにする」という意味で、岸谷さんもまた寺脇さんに、特別な信頼を置いているようです。

 

岸谷「今回もですけど、寺脇に舞台で言わせるためのセリフを書いていると、思わず顔がニヤついてくる(笑)。演劇作品を作る者として、喜びを感じることがあるんです。それは、寺脇という役者の個性の新たな面を見つけ出して、自分の表現として言葉にできたときなんですね。そして、そのセリフを本番までの準備の過程で、寺脇が話し、役を演じることで、ほかの出演者たちがそれぞれ自分が何をするべきか、しっかり認識できるようになるんですよ。寺脇以外の出演者が、僕が書いたセリフに込めた意図を読み違えることもたまにあるんです。でもその読み違えを、寺脇はみんなと一緒に演じて、役を突き詰めていくことで正してくれる。出演者たちは、寺脇とセリフをやり取りする中で、自分はどういう間でどんな言い方をすればいいのか、感覚として分かってくるんですよ。これは、寺脇でなければできないことなんです。演出家としての僕とは、別の役割を果たしてくれている。地球ゴージャスがプロデュースする公演で、寺脇は『演出補』ということになっていますけれど、この肩書きは、そういう意味でもあるんです」

 

「地図にない島にたどり着くところから物語が始まる」(次のページへ)

 

 こうやって深く信頼し合う2人が作ってきたからこそ、壮大なエンターテインメント作品として人気を博している地球ゴージャスの公演。では今回の「ZEROTOPIA」では、どんな物語を舞台の上で展開するのでしょうか?現時点で明らかになっているのは、登場人物たちが乗った大きな船が沈み、生き残った者が、地図にない、色彩もない島にたどり着くという、物語のイントロダクションのみですが……。

 

 

岸谷「舞台に出てくる人間は、それぞれに背負っているものを隠すところからストーリーを始めようと思うんです。だからお互いについて知っていることはない。その上、たどり着いた島は地図にも載っていなくて、色彩も失っている。要するに何もない、始まりは『ゼロ』です。この『ゼロ』から、どんなことが生まれてくるのか。『ゼロ』の状態である人間たちが何を始めていくのか。同時に、お互いに対する知識がないので、疑いも生じてきます。船は沈んだのではなく、沈められたのではないか? 島にはたどり着いたのではなく、たどり着かされたのではないか? だとすれば、生き残った人間たちは、島に集められたのではないか? そうだとしたら、何のために? 何もない『ゼロ』であるはずの島で、疑問は次々に生まれていきます。『ゼロ』に疑問が加わって、ディストピア、理想とは間逆の世界に変わっていくのか? それとも最後にはユートピア、理想郷が現れるのか? それを登場人物たちの言葉と動きで描き出せたらと思っています」

 

 

寺脇「設定としては文字通り、何もないところから、僕らはほかの出演者の人たちと舞台を作り上げていきます。ご覧になる皆さんの中には、今、明らかにできる物語の発端から、けっこう重い話になるんじゃないかと心配される方がいらっしゃるかもしれません。でも、僕らとしては、今度の公演で、その『重さ』に真正面から取り組みたいんですね。『重さ』にしっかりと向き合う。そのことで生まれる醍醐味(だいごみ)、面白さをお伝えしたいと思うんです。変な言い方になりますけど、『すがすがしく重い』。そんな公演にできると確信しています」

 

「新潟で『いい芝居ができた』と実感したい」(次のページへ)

 地球ゴージャスの公演だから伝えられる演劇の醍醐味(だいごみ)、面白さを、確かに感じられる作品になる。岸谷さんは自信を持って言います。

 

 

岸谷「出演者たちがお客様の目の前の舞台に現れて、セリフを発し、動く。お客様は、出演者と同じ空間と時間を過ごすことで、本当の意味で“体感”してくださいます。そのことを通じて、地球ゴージャスで、『舞台』『演劇』に触れるのが、いかに素晴らしい体験か。多くの人に知っていただける力に少しでもなれたらとも思うんですね。ですから、今回も新作を作り上げて、公演の前にはどんな舞台になるか、限られたことしか明らかにしていません。お客様が客席でご覧になって初めて生まれる驚き。それも演劇の面白さだと思うんです」

 

 

寺脇「その驚きを常に感じていただくために、“地球ゴージャス”でいつもいるのは、僕ら2人だけ。あとは出演者もスタッフも、そのときに伝えたい、作りたいことに最適な人たちに集まってもらっています。フットワークは軽く、自由に。このやり方だから、新潟での公演も実現できるんですよ。今回もこの「ZEROTOPIA」という作品で、新潟の皆さんに楽しい舞台を体験していただきたいと思っています。そして僕らも新潟で『いい芝居ができた』と実感して、おいしいお酒を飲みたいと思っています(笑)。それと、これはお約束なんだけど……」

 

岸谷・寺脇「新潟テルサで、待っテルサ(笑)」

 

 全3回にわたって、お二人の新潟への思い、お互いの信頼、そして今回の作品のことを熱く語ってくれた岸谷さんと寺脇さん。今回の作品に懸ける思いが、エネルギーに満ちた一つ一つの言葉となって伝わってきました。

 最新作ダイワハウスSpecial 地球ゴージャスプロデュース公演 Vol.15「ZEROTOPIA」の新潟公演は、6月9日(土)、10日(日)に新潟テルサで上演されます。これまでにない壮大なエンターテインメントを体感できるというだけに、今から当日が待ち遠しい!

 

 

 

◆公演概要
ダイワハウスSpecial 地球ゴージャスプロデュース公演 Vol.15「ZEROTOPIA」
【日時】6月9日(土)❶12時30分 ❷17時30分、10日(日)13時 【会場】新潟テルサ
【料金】SS席12,000円、S席9,500円、A席8,500円 

【Lコード】32210 【Pコード】483-415 
【チケット】発売中 【備考】未就学児入場不可 

【問い合わせ】キョードー北陸チケットセンター ☎025-245-5100
【作・演出】岸谷五朗
【出演】柚希礼音 西川貴教/新田真剣佑 宮澤佐江・花澤香菜(Wキャスト)/
藤林美沙 原田薫 大村俊介(SHUN)水田航生 植原卓也/岸谷五朗 寺脇康文 ほか

 

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