この最新作は、シングルでもアルバムでもなく、「e.p」という形態でリリースされています。「extended play」、つまり「収録時間を延ばしたシングル」くらいの意味合いで、音楽の世界では20世紀から存在していました。しかし、古くからあるリリースの形という以上に、「e.p」でなければならなかったのは、sumikaにとって特別な理由があったからといいます。

 

 

 

「シングルだと受け取ってくださる皆さんも、表題曲とそのカップリング曲という意識を持ってしまうと思ったんです。一方でアルバムは10数曲でトータルな世界を描き出すメディアですから、この4曲を通じて多くの人に僕らの思いを伝えるのには適さない。この『e.p』に入れた4曲は、それぞれ曲調は異なりますけど、すべての曲に込めた僕らの思いの強さ、その比重は変わらないんです。しかも、その4曲を僕らが形にしようと思ったタイミングと、なるべく時差なく、さらにこうやって、すぐにライブでも皆さんに届けるためには、この形態が最適でした」

 

 確かに、それぞれ曲調の異なる4曲ですが、すべてを通じてメンバーたちの一貫した思いが感じ取れる気もします。

 

「最初に入れた『フィクション』という曲は、表題曲だと受け取られるかもしれませんね。でもそういうわけではなくて、この曲のもとになったのは、『架空の何か』というより、物語を生み出すように、何もないところから想像力を使って新しいことを作り上げていく感覚なんです。その感覚、『無』から『有』を紡ぎ出すということで、この4曲は共通しています。紡ぎ出すために僕らがやったのは、過去を振り返ることでした。今までの活動を本に例えるなら、前に栞(しおり)をはさんだページまで戻って、例えそこに『悔しくて涙を流した』と書いてあったとしても、その涙をまず肯定して、その思いからこれからの明るい未来を想像できたらと、曲を作っていったんです」

 

 彼ら自身の過去、それも自分たちの思い通りにならなかったこと(体調を崩したメンバーがいて、しばらく活動を休んだ時期もありました)も、あらためて受け入れて、その上でより良い未来を自力で切り開こうとするsumikaの思いは、もうすぐ新潟で行われるライブで、熱い共感を呼ぶでしょう。その場を体験できたなら、とても貴重な、と同時にすてきな機会になるはずです。

 

「最初にも言ったように、このバンドを僕らが続けているのはできる限り多くの人たちと音楽で気持ちを通じ合わせたいからです。だから今回、新潟でやらせてもらうライブでは特に、会場の皆さんが返してくださる反響をしっかりとステージで感じ取りたいと思っています。その感じ取ったことは、さらにこれから生まれる新しい音楽に必ず生かされていきます。僕らが過去を振り返って作った曲で、ライブという今を多くの人たちと共有して、これからの希望にあふれた未来をイメージしていく。その循環を皆さんで僕らと一緒に作り出してください。よろしくお願いします」

 

 

◆リリース
e.p「Fiction e.p」
2,052円(初回限定盤・DVD付き)、1,296円(通常盤)
フィクション/下弦の月/ペルソナ・プロムナード/いいのに  全4曲

 

◆ライブ概要
sumika Live Tour 2018 “Starting Caravan”
【期日】5月18日(金) 【時間】19時 【会場】新潟県民会館 大ホール 
【料金】5,800円(全席指定) 【Lコード】73243 【Pコード】111-162 
【チケット】発売中 【備考】4歳以上有料、3歳以下でも座席が必要な場合は有料 
【問い合わせ】FOB新潟 【TEL】025-229-5000