開演時間の10分前、フードブースから客席へ向かうと、驚きの光景が目の前に広がります。 まるで香港や台湾の歓楽街を彷彿(ほうふつ)とさせる看板があしらわれた巨大なセット。「お客さんを満足させるためなら、たった1夜のためでもここまでやる」彼らのエンターテイナーとしての高い意識を垣間見るようでした。

 

 

そんなセットに圧倒された中、定刻を少し過ぎたころ。場内に響いたアナウンスが、最高のショーの幕開けを告げます。広い敷地を生かした壮大なステージにメンバーが登場すると歓声が上がり、場内の熱気は一気にヒートアップ。数々のヒットナンバーと豪華過ぎる仕掛け、メンバーの覚悟を感じる全力のパフォーマンスが展開します。

 

 

曲中には、Fukaseさん(Vo)が、「大きな声で!」と観客を扇動し、会場に大合唱が響く場面も。

そこに居合わせた人すべてを巻き込みSEKAI NO OWARIのライブは進んでいきました。

 

 

また、曲間のMCでメンバーが口々に語ったのは、「音楽と髭達」のこと。

Nakajinさん(G)は、「2013年8月の音楽と髭達で嵐がやって来て、ライブを中止した記憶が強烈に刻まれてます。5年ぶりに戻ってきたわけですよ。リベンジができて、とても感慨深いです」と思い出を語り、DJ LOVEさんは「音楽と髭達がよぎりました。今日、無事に開催できてよかったです」と話しました。

 

 

 

序盤から断続的に降り続ける雨は、容赦なく観客の体温を奪っていきますが、それ以上の盛り上がりで、客席からは歓声が鳴り止みません。その歓声に呼応するように、彼らも雨に負けることなくパフォーマンスを繰り広げていきます。

 おもちゃ箱のようなかわいらしいサウンドと伸びやかで優しい歌声が会場を包んだかと思えば、攻撃的でダークなイメージの楽曲を披露。観客を現実とファンタジーの狭間に引き込んでいきます。

 

最終盤には、これまで見たことのない演出で驚かせるなど、最後まで観客の心を捉えて離さなかった彼ら。吐く息が白くなるほど冷え込み、雨は最後まで降り続き、足元はぐちゃぐちゃと、決してコンディションが良いとはいえない天候でしたが、それを含めても素晴らしいと思えるライブでした。

 

 

サオリさん(Pf)が「記憶に残るライブは晴天のライブではなくて土砂降りだったりするんです。今日のライブを私たちメンバーは一生忘れないと思います」と話したように、来場者にとっても、一生忘れられない大切な記憶になったことでしょう。

 

 

あの日あの場所で彼らのライブを目撃できた幸せをかみしめながら、SEKAI NO OWARIが生み出すこれからの物語と奇跡を心から楽しみに待ちたいと思います。