■「ザ・ドラマーズ」について

 

―これまでの作品とは異なって、今回の「ザ・ドラマーズ」ではストーリー性をなくして、純粋に音楽だけで観客を魅了しよう、というコンセプトですね。

 

 

生越さん「今回、舞台作りの段階からよく話題に上がっていたのが『ロック』だったんです。ロックのコンサートみたいにスタンディングで盛り上がれるものにしたいよね、と」

 

中田さん「もちろん、最終的にはロックにはなりませんよ。使うのは和太鼓ですし(笑)。でも、ロックを意識しながら徐々に舞台を作るなかで、これまでにない全く新しい音楽ができるんじゃないか、そういう手応えを感じていました」

 

―では、見どころもやはりロックベースのサウンド、と。

 

生越さん「もちろん!」

 

―ロックというコンセプトは何かきっかけがあったのですか?

 

中田さん「ちょうど新作の構想をしていたころ、LUNA SEAやX JAPANで活躍されているミュージシャンのSUGIZOさんと、ギターやドラム、シンセサイザーを用いたステージでコラボする機会があったんです。今回はその影響がとても強く表れていますね。ドラムを取り入れて、和洋の異なる打楽器の響き合いを楽しめるようにしていたり。ロックをベースにしつつも、誰も聴いたことがない全く新しい音楽になっていますよ」

 

 

 

―ひとつの作品は、どのような流れで作られるのですか?

 

中田さん「基本的には、最初に演出家が叩き台になるようなものを出してくれるんです。それをもとに、みんなで活発に意見を出し合って」

 

生越さん「やっぱりフラットですから。全員が積極的にアイデアを出して、いいものを作ろうという雰囲気に満ちていますね」

 

中田さん「制作期間も年ごと、作品ごとに違いますね。今作は1カ月くらいで仕上げました。個性が強い人間が集まっているのでいろんな提案が出て、内容は本番の1週間前くらいまで固まらないんです。最後の最後にだんだん整ってきて、『これだ!』という瞬間があるんですよね」

 

生越さん「とはいえ、公演中もアイデアが出れば取り入れますし、一年を通して調整期間という感じですね。すでに5月から全国で披露していますが、お客さんの反応も上々。公演ごとにまだまだ進化を続けています。ぜひ期待してほしいですね」

 

―東京にある常設の「万華響」で年間500公演、それに加えて全国、世界を飛び回っていらっしゃいますよね。私にはとても想像できないほどのエネルギーですが、その圧倒的な熱量はいったいどこからくるのでしょうか。

 

 

中田さん「多忙だからこそ、それが刺激になっているというのはあります。日々の公演で、自分のアイデアが実現できる。そういうのはとてもエキサイティングです。あとはポジション争いでしょうか。やりたいポジション、パートを目指して日々努力しています。それに、全国を回っていますので、ご当地グルメをモチベーションに(笑)」

 

―(笑)。生越さんはどうでしょうか。

 

生越さん「タオでは公演ごとに班が変わるので、毎日違うチームで違う公演をするなんてことも場合によってはあるんですね。それはすごく楽しい。いろんな作品に同時進行で関わると、それがまたインスピレーションを与えてくれることもあったり。コラボも含めて、日々の激しい変化に決して飽きない。むしろ変化があるからこそ熱心に取り組めています」

 

―ありがとうございます。最後に、新潟の皆さんにメッセージをお願いできますか?

 

生越さん「タオとしては何回も来ていますけど、僕はチームの編成上、新潟にはあまり来たことがないんです。とても楽しみですね。これまでタオの舞台を観たことがある方も、初めての方も、絶対に楽しめる舞台に仕上がっていますので、ぜひ会場に足を運んでいただきたいです!」

 

中田さん「まだ駆け出しだったころ、『アート・ミックス・ジャパン』で新潟に来たことがあって。お客さんがとてもあたたかく迎えてくれたのをよく覚えています。和太鼓はやはり会場で振動を感じてこそ。それに、今回は衣装にもこだわりがあって。これまで同様コシノジュンコさんにデザインしていただいているのですが、メンバー全員がそれぞれ違うスーツを着るんです。これは初めての試みですごくかっこいいのでぜひ生で見てもらいたいですね。新潟のご当地グルメも楽しみにしています(笑)」

 

関西出身ということもあってか、ユーモアを交えながら終始穏やかにインタビューに応じてくれたおふたり。それでいながら、発言からは自分たちのステージに対する確かな矜持が感じられました。進化を続けながら世界中で多くの人々を魅了している、日本の伝統文化の現在進行形を、ぜひ会場で体験してみてはいかがでしょうか。

 

 

◆DRUM TAO 「ザ・ドラマーズ」

【会場】新潟市民芸術文化会館・劇場 

【日時】10月8日(火) 19時開演

【料金】SS席7,000円、S席6,000円、A席5,000円

【備考】6歳未満入場不可

【お問い合わせ】サンライズプロモーション北陸 ☎025-246-3939