櫛田さんは2007年から12年までNoismに所属し、舞踊家として活躍していました。そのNoismに振付家として戻ってくることは思ってもみなかったと言います。

 

櫛田「Noismにこういう形で戻ってこられるとは思っていなかったので、オファーをいただけたことはうれしかったですね。本番が近づくにつれて不安もありますが、彼女たちの魅力を引き出せられるように頑張りたいと思います」

 

 

 今回上演される新作『ゾーン』は、「忘れることや、忘れられること」などがテーマになっています。

 

櫛田「今作では、忘れてしまった人と忘れられた人々やことを描いています。東日本大震災や西日本の豪雨など、いろいろな出来事がありますが、それらを忘れてしまう、風化させてしまうことの恐怖やさみしさがテーマになっているんです。作品を創るときには、僕は社会との関わりを考えていて、自分が何かすることによって、社会がよい方向に動いたらいいなと思っているので、時事性を持たせることは自分のカンパニーでも大切にしているんです。自分のエゴでもあるんですが(笑)、好きなものを創るだけでなく、作品を通して社会に関わっていたい。自分のカンパニーでもNoismでも、レパートリーや作品は言葉や映像で受け継がれていくものなので、自分がいなくなった後も、風化させずに残っていってほしいという思いを込めて、作品創りをしています」

 

 

 今作は「ここでしかできない方法で作りたい」という思いのもと、舞踊にすべてを注ぎ込んでいるNoism2のメンバーと共にじっくりと時間をかけて作品を創り上げたそうです。

 

櫛田「バイトなど舞踊以外のことにも多くの時間を取られてしまうフリーのダンサーとは異なり、Noismのメンバーは新潟に移住してきて、NoismメソッドやNoismバレエという訓練を毎日実践し、舞踊に向き合っているので、舞踊に対する覚悟が違うと思いますね。今回は僕が振付けたものをやってもらうだけでなく、彼女たちと話したり、実際に体を動かしたりしながら、クリエーションを進めてきました。約1カ月間向き合ってきて、彼女たちは高い技術を持っていると実感しています。まだまだ良いものに仕上げていきますので、当日は最後まで目を離さずに楽しんでいただけたらと思います」

 

 Noism2には、現在、プロを目指して全国から集まった9名の舞踊家が在籍。2017年8月からスタートした今シーズンは7月いっぱいで終了になるため、今回の公演は現メンバーにとって1年間の集大成となります。

 

 屋外公演ということで、潮風が感じられる万代島多目的広場を舞台に、舞踊とアート作品の融合が楽しめるのは今回だけ!しっかりと暑さ予防をして、Noism2の公演を堪能してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

  • プロフィール

櫛田祥光(くしだ・よしみつ)/ダンサー、振付家。2007~12年Noismに所属。13年Dance company Lastaを創立。以降14作品を発表し、15年New Prague Dance Festival 2015 International Dance Festival-Competitionコレオグラフィー部門最優秀賞受賞。第49回埼玉全国舞踊コンクール創作舞踊部門第1位、他受賞歴多数。

 

 

Noism2

りゅーとぴあ専属舞踊団Noism(芸術監督:金森穣)の研修生カンパニー。プロフェッショナルカンパニーであるNoism1の付属集団として09年9月設立。プロをめざす若手の舞踊家が所属し、毎年単独公演を行うほか、Noism1との合同公演として劇的舞踊「ホフマン物語」、「カルメン」、「ラ・バヤデール―幻の国」や「中国の不思議な役人」に出演。13年のシーズンからは山田勇気がリハーサル監督に就任し、新潟市内で開催されるイベント等へのゲスト出演や中学校への出前公演など、新潟に根付いた活動を展開している。

 

 

◆公演情報

Noism2 特別公演 2018『ゾーン』 

7.28(土)・29(日)開催 

会場/万代島多目的広場(屋外広場) 

時間/各日(1)15時30分 (2)17時30分 

料金/1,500円(整理番号付き・自由席) チケット発売中 

備考/未就学児入場不可 

お問い合わせ/りゅーとぴあチケット専用ダイヤル(11時~19時、休館日を除く) 

℡/025-224-5521 

 

演出振付/櫛田祥光 出演/Noism2