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岡本芸術の創造エネルギーに迫る展覧会「岡本太郎展 太陽の塔への道」

20世紀に活躍した芸術家・岡本太郎。1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)では代表作「太陽の塔」がお披露目されました。その「太陽の塔」をテーマにした展覧会「岡本太郎展 太陽の塔への道」が、2020年12月19日から新潟県立万代島美術館で開催されています。今回はその前日に開かれた内覧会へ行ってきました。

◆「太陽の塔」の公開当時と修復後の姿

こちらは1970年版の塔の内部に置かれたオブジェ「生命の樹」の模型です。一本の樹木には、原生生物、恐竜、動物、人類などが配置されていて、生命の誕生・進化の過程を表しています。

1970年版

1970年版と2018年版の塔の模型が展示されたエリア。2018年には耐震補強工事を兼ねた再生事業が完了し、一部のオブジェや、通路、腕の部分といった構造などが造り替えられました。ここでは2つの模型でその違いを見比べることができます。

2018年版の内部

また、一部の展示エリア内は照明に色が付けられていて、まるでパビリオンの中を歩いているかのような気分です。

◆パワーを象徴する絵画や彫刻の数々

黒や赤などの鮮やかなコントラストをなす色使いと、キャンバスに目いっぱい勢いよく描かれた絵画の数々。「座ることを拒否する椅子」「ノン」といったユニークな形の彫刻作品(レプリカ)も各所に置かれています。どれも一度見たら忘れられないほどのインパクトです。

◆日本の本当の姿、自分の根源を見つめた旅

こちらは岡本氏自身が撮影した写真の数々。塔の制作に取り掛かる前の1950年代、偶然目にした縄文土器に魅了されたのをきっかけに東北や沖縄を巡りたくましく豊かな“原始日本”を見つめ、自分自身の根源を知ることになったそうです。

真っすぐ見つめる顔、祭事をする人々、祈りをささげる人…。厳しい自然の中で生きていく力強さや生々しさ、神秘的な何かを感じさせる1枚も。岡本氏が捉えたかったものがひしひしと伝わってくるようでした。

◆塔下に設けられた展示「地下・根源の世界」

こちらは太陽の塔の下に設けられたテーマ館地下展示を紹介するエリア。

黄金に輝く「地底の太陽」の原型。エキゾチックな音楽に合わせてライトも変化します。

地下展示空間にあった「いのち」「ひと」「いのり」の3つのゾーン。そのジオラマが各ボックスの中に再現されています。

その中の一つ「いのり」。地底の太陽が置かれた祭壇の周りにはお面や神像が飾られています。これらは万博閉幕後に撤去されたもので、現在は見ることができない部分。当時、実際に観覧できた人は、その迫力に圧倒されたに違いありません!

◆修復の過程も紹介

再生事業を始めた当時の塔内の物はかなりの劣化が進んでいたそうですが、2016年から始まった修復プロジェクトにより見事復活。修復の様子を撮影した映像も流れていて、当時と同じ物を復元し、再構築した試行錯誤の過程も知ることができます。


最後は手すりに手を掛けている太陽の塔オブジェがお見送り。ここで記念撮影するのもいいですね!(今展は一部の展示を除き写真撮影が可能です)

岡本太郎の思いと、生物全ての「生きる」意味が詰め込まれた太陽の塔。地球誕生から延々と続く命のように、後世にもこのメッセージが伝えられるよう、いつまでも残っていてほしいと感じました。

イベント情報

イベント名 岡本太郎展 太陽の塔への道
開催期間 2021年3月7日(日)まで※2021年1月18日、2月1日・15日は休み
開催時間 10時~18時(観覧券の販売は17時30分まで)
会場 新潟県立万代島美術館(新潟市中央区万代島5-1 万代島ビル5F)
料金 一般1,200円、高大学生1,000円、中学生以下無料
お問合せ先

新潟県立万代島美術館
電話 025-290-6655

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