バンドであるG-FREAK FACTORYが、DJのようなイメージで曲を完成させていったというと、違和感を覚える人がいるかもしれません。しかしそれは、G-FREAK FACTORYにとって矛盾することではないのです。というのは、彼らがレゲエに大きな影響を受けていて、このジャンルを自分たちの音楽的な基盤の重要な部分として位置付けているからです。とくに、レゲエから派生して、現在では世界の音楽界で独立したカテゴリーとして認知されている「ダブ」は、以前からG-FREAK FACTORYの音楽の重要な要素になっています。リズムを強調し、スタジオで録音技術を活用して増幅したボーカルや楽器の音の残響の音色も電子的に変化させ、普通に演奏するだけでは作れない音像を構築する。今では一般的な「リミックス」が生まれるきっかけになったともいわれる「ダブ」の手法を応用して完成させたのが、「カモメトサカナ」です。

 

茂木「20年くらい前、このバンドを始めて間もないころから僕らはダブが好きで、その方法でも自分たちなりにいろいろ試して、曲作りに生かしてきました。今回この曲では後半に向かって盛り上がって、スケールの大きな音の感じにしたくて、このやり方で作ることにしたんです。ライブでは使わない鍵盤楽器や打楽器の音も重ねています」

 

 

 後半から大きく盛り上がる曲調にふさわしく、歌詞でも「海をゆくカモメ」「空を飛ぶサカナ」「とおり雨」「みんなが見える丘」といった言葉によって、壮大なサイクルで動き続ける大自然の情景が歌われています。

 

茂木「音を積み重ねて曲を作り上げていく中で、水、雨、海、丘、空、虹、情景を描写する言葉が、連想が連想を生んで、次々に思い浮かんできました」

 

 新体制で初の新作であると同時に、バンドの結成当初から大切に守り続けてきた音楽的要素を前面に押し出した「カモメトサカナ」は、これからのG-FREAK FACTORYにとって、ライブでも重要な曲になっていきそうです。

 

茂木「とても速いというわけでも、ゆったりしているわけでもない。言ってみれば緊張感のある微妙なテンポの曲で、しかもスタジオでいろいろなことを試したから、ライブで表現するのは難しいと思います。でも僕らの音楽的な背景を伝えるという意味で、お客さんと一緒に大きく育てていける曲にしていけたらうれしいですね」

 

 

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