サイトアイコン Komachi MAG.

音楽的原点を見つめ直し新たな創作へ。群馬の雄・G-FREAK FACTORY の現在地

 結成の地、群馬から20年以上にわたって拠点を動かすことなく活動を続けるG-FREAK FACTORY。このバンドに今春、新たなメンバーとして渡部“PxOxN”寛之が加入。6月6日には、新体制後初のシングル「カモメトサカナ」をリリースしました。この発売に続き、6月24日(日)には新潟市でライブも行います。

 

 

シングル「カモメトサカナ」

 

茂木「彼(渡部)は、昔からの顔なじみです。ただ、僕らが続けてきたやり方とは全く違うアプローチで音楽に入り込んでいくタイプなんですね。だから彼が加わって、バンドとしての音楽への向き合い方はずいぶん変わったし、音楽的にやれること、可能性の幅も大きく広がったと思います。しかも人間的には以前からしっかりわかり合えているから、例えば1つの曲をどんな編曲で、どんな音色で聴いてもらうか決めるときも、すぐにメンバー全員の意志が一致して素早く決断できる。そういう部分を生かして、新しいシングルは作ることができたと思います」

 

 ほとんどの曲で作詞を手掛ける、ボーカルの茂木洋晃はそう語ります。新メンバーが加わってバンドに生まれた変化は、シングル「カモメトサカナ」にさまざまな形で反映されているようです。

 

茂木洋晃(Vo)

 

茂木「表題曲は、ある程度の原型がかなり前からあったんです。それにたくさんの音を重ねて、聴いていただけるような最終的な形にしていきました。曲を通した流れというより、どちらかといえば音像、音としての感触、聴こえ方を優先して決めていった感じです。バンドとして演奏する曲を作るのとはまた別の、例えばDJがいろいろな音をサンプリングして、曲を作っていくようなイメージですね。そのイメージで、ギターの反復フレーズなども考えました」

 

 

「彼らの音楽を形作る『ダブ』の存在」(次のページへ)

 バンドであるG-FREAK FACTORYが、DJのようなイメージで曲を完成させていったというと、違和感を覚える人がいるかもしれません。しかしそれは、G-FREAK FACTORYにとって矛盾することではないのです。というのは、彼らがレゲエに大きな影響を受けていて、このジャンルを自分たちの音楽的な基盤の重要な部分として位置付けているからです。とくに、レゲエから派生して、現在では世界の音楽界で独立したカテゴリーとして認知されている「ダブ」は、以前からG-FREAK FACTORYの音楽の重要な要素になっています。リズムを強調し、スタジオで録音技術を活用して増幅したボーカルや楽器の音の残響の音色も電子的に変化させ、普通に演奏するだけでは作れない音像を構築する。今では一般的な「リミックス」が生まれるきっかけになったともいわれる「ダブ」の手法を応用して完成させたのが、「カモメトサカナ」です。

 

茂木「20年くらい前、このバンドを始めて間もないころから僕らはダブが好きで、その方法でも自分たちなりにいろいろ試して、曲作りに生かしてきました。今回この曲では後半に向かって盛り上がって、スケールの大きな音の感じにしたくて、このやり方で作ることにしたんです。ライブでは使わない鍵盤楽器や打楽器の音も重ねています」

 

 

 後半から大きく盛り上がる曲調にふさわしく、歌詞でも「海をゆくカモメ」「空を飛ぶサカナ」「とおり雨」「みんなが見える丘」といった言葉によって、壮大なサイクルで動き続ける大自然の情景が歌われています。

 

茂木「音を積み重ねて曲を作り上げていく中で、水、雨、海、丘、空、虹、情景を描写する言葉が、連想が連想を生んで、次々に思い浮かんできました」

 

 新体制で初の新作であると同時に、バンドの結成当初から大切に守り続けてきた音楽的要素を前面に押し出した「カモメトサカナ」は、これからのG-FREAK FACTORYにとって、ライブでも重要な曲になっていきそうです。

 

茂木「とても速いというわけでも、ゆったりしているわけでもない。言ってみれば緊張感のある微妙なテンポの曲で、しかもスタジオでいろいろなことを試したから、ライブで表現するのは難しいと思います。でも僕らの音楽的な背景を伝えるという意味で、お客さんと一緒に大きく育てていける曲にしていけたらうれしいですね」

 

 

「ライブで新潟へ」(次のページへ)

 表題曲がさまざまな音楽的要素を取り入れて作り上げられているのに対して、カップリングの2曲、「FAKE SPEAR」「new:」はいずれも、軽快なリズムにのってシンプルに流れていく曲です。聴いた印象は異なりますが、G-FREAK FACTORYのバンドとしての主体性は一貫していて、ニューシングルは3曲だけで新体制となったこのバンドがこれまで以上に音楽性の幅を広げたことを感じさせ、これからも新たな可能性を切り開いていくだろうと期待させてくれます。

 

茂木「この4人になって初めての新作ですから今の僕らにできる最良の、そして聴いてくれる人にはリズムが印象に残る曲を作る必要を感じていました。新しいメンバーが入ったというバンドの変化を経て、より高い次元へ昇っていかなければならなかったんです。この通過点がいつか懐かしい日々になればいいなと今は思っています」

 

 

 ニューシングルのリリースに伴う全国ツアーの最終公演を、彼らは7月21日(土)に東京の日比谷野外大音楽堂で行います。さらに、2012年から毎年秋に彼らが地元の群馬で主催してきた音楽フェスティバルも、例年1日でしたが、今年は9月22日(土)、23日(日・祝)の2日間にわたり、「山人音楽祭 2018」と題して、開催します。

 

茂木「どのバンドも、ライブを行う当日のずいぶん前から予定を明らかにします。つまり、少し先の未来のことを大勢の人たちと約束するんです。そして、大きな会場でやるライブ、規模の大きなフェスティバルほど、前もってしっかり準備しておかなければなりません。その覚悟を持って、これまで活動を続けてきました。それでこうして、バンドとしての活動を広げてこられたのは、とても幸せなことですね」

 

 

 彼らが自分たちの活動に充実感を覚えていることを、新潟でのライブでも感じさせてくれるはずです。当日は、横浜を拠点とするレゲエユニット、FIRE BALLも同じステージでライブを体験させてくれることになっています。

 

茂木「新潟は土地としても、そこで暮らしている人たちも、本当に大好きな街です。特に地元からサブカルチャーを発信する人たちが多くて、しかもいろいろな人がいることに魅力を感じています。そして海があって山があって平野がある。内陸の群馬にいる僕らが普段は触れることがない、変化に富んだ風物、情景、自然、そこで採れるもの、たくさんのことに、新潟では出会えます。そうして僕らがもらえるエネルギーを、FIRE BALLに胸を借りて、今回も思い切りお伝えできたらと思っています」

 

◆ライブ概要
G-FREAK FACTORY “カモメトサカナ” TOUR 2018
【日時】6月24日(日)18時 【会場】Live Hall GOLDEN PIGS BLACK STAGE
【料金】3,000円(スタンディング・ドリンク代別) 【チケット】SOLD OUT
【問い合わせ】FOB新潟  【TEL】025-229-5000
【対バン】FIRE BALL(2マン)

 

モバイルバージョンを終了