毎年さまざまなトレンドでファンの舌を楽しませてくれるラーメン業界。新潟では今、スパイスラーメンがちょっとしたブームです。トウガラシやコショウなどは以前からあれど、カルダモン、クミン、ジンジャー…とカレーなどのエスニック料理などにも用いるスパイスを取り入れた、香りも刺激も豊かなラーメンが、特に女性から支持を集めています。

麺辞苑3杯目は、そのスパイスラーメンの源流ともいえる、ウマ辛な1杯です。

新潟市西区「麺や我駆」は新潟西バイパス小新インターを降りて5分ほど。通り沿いに見える、赤い看板が目印です。

店内は長いカウンターとテーブル席。土・日曜・祝日限定のお子様らーめん(400円)や、おにぎりが2つ付いたお子様セット(300円)などファミリー向けも利用しやすいお店です。

こちらが今回取り上げる「辛味噌オロチョン」(850円)。中央に鎮座する赤い粉末を見るだけで、額に汗がにじんできそう! 

ややとろみがかったスープをひと口すすると、ジワジワと辛さが…!ただ、それ以上にとんこつのコクと野菜の甘みをしっかり感じられるので、激辛が苦手な私もおいしくいただけます。野菜たちを箸休めに食べ進めましょう。

▼辛さを欲している方は通常の1辛~3辛まで無料で追加OK。さらに辛さを欲する方は、プラス50円で4辛、100円で5辛に変更可能。ちなみに右がノーマルの1辛で左はMAXの4辛。「見た目はそれほど赤くない…」と侮るなかれ。口に含んだ瞬間、口中に刺激が…! 希望者には6辛以上もあるとか…! 自信のある方は、ぜひ挑戦を。

麺はモチモチの中太麺。スープが濃いめなので、弾力のある歯ごたえがちょうどいいバランスです。野菜との食感もたのしいですね。

辛みのもとは、この辛みそ。新潟市の「菱山六醤油」のみそをベースにトウガラシなどで辛みを加えた特性ダレ。

こちらをみそダレと一緒にスープに加えて煮込みます。実はこの「煮込み」がポイント。フライパンで具材を炒め、タレとダシを加えてスープを仕上げるスタイルは、札幌みそラーメンをはじめ広く浸透していますが、野菜の食感を生かすために、具材を炒め過ぎないケースがほとんど。

しかしこちらは、その逆。3分ほど強火でじっくり煮込みます。
「野菜や肉に火を入れることで、うま味がスープに染み込んでおいしくなるんです」とご主人の松田英美さん。今の時期に欠かせない鍋料理のように、具材が持つうま味をしっかり引き出すことが「旨辛」の秘密なんですね。

▼しっかり火が入っているのでしんなりしていますが、1杯分に使う具材の量を見ると、ボリューム感とともにこれだけのうま味がスープに加わっていることがわかります。

名店の味を引き継ぎ、次代へ

「オロチョン」と聞いて、ピンと来る方はかなりのラーメン通。この辛味噌オロチョンはかつて新潟市中央区にあったラーメン店の人気メニューでした。我駆もそのお店の職人さんが立ち上げたお店なんです。現在のオーナーの松田さんはその系列店で働いたのち、2年前に我駆を引き継ぎました。

「当時とはダシのとり方がかなり変わっています。教わったことを軸にお客さまに愛される味をこれからも作っていきたいですね」。

▼「顔はスミマセン…」ということで背中越しのご出演。

「ウチは座敷がないので小さなお子様連れは利用しにくい。その代わりにお子様メニューを充実させたり、イスや麺切りハサミ、エプロンなどを用意して、少しでもご家族でラーメンを楽しんでもらえるように心がけています」。女性らしい心配りはファミリーにはうれしいですよね。

▼濃厚なとんこつスープにエビのうま味をガッツリ利かせた「濃厚えびらーめん」(850円)。厚切りの炙りチャーシューがのった食べ応え満点の人気メニュー。

オロチョンとはアイヌ語で「勇敢な」という意味。そう聞くと、辛さに負けず立ち向かえ!的なチャレンジメニューのようにも聞こえてしまいますが、煮込んだ野菜と濃厚スープと辛みがバランスよくまとまとまった1杯。辛党ならずとも、ぜひ一度ご賞味あれ!

 

【麺や我駆】

住所: 新潟市西区小針7-14-7
電話: 025-201-8232
営業時間:11時〜15時、17時~21時30分※水曜は11時~15時
定休日:水曜夜
席数:25席
駐車場:11台