※試乗動画は記事後半に埋め込まれています。

 

東京・お台場、横浜・みなとみらい21、山梨県・山中湖などではすでに観光ツアーとして人気の「水陸両用バス」。そんな水陸両用バスの運行テストが、新潟県の海としては史上初めて行われているという噂を聞きつけ、取材に行ってきました!

 

 

運行テストの舞台は新潟市西蒲区。まだまだ残暑を感じる、快晴の「間瀬港」で行われました。太陽光を反射してキラキラ光る海を眺めながら港周辺を歩いていると…。見えました!

 

これが今回の運行テストを受ける水陸両用バス。水陸両方に対応するタフさから、装甲車のような「ゴツい」見た目を勝手に想像していましたが、予想外にかわいいルックスです。

 

設計と車両部分の製造を手掛けたのは、水陸両用車だけでなくキッチンカーやレッカー車、警察車両や消防車といった「特種車」の製造を得意とする神奈川のコーワテック株式会社。そして黄色の船体部分は新潟の有限会社江部鉄工所が製造しているんですよ!

 

新潟県内の企業がこの船の大切な部分を造ったのだと思うと誇らしい気持ちになりますね。

 

 

水陸両用車を使った観光ツアーは、同じく“水陸両生”のカモ/アヒル(Duck)になぞらえて「ダックツアー」と呼ばれているのだそうで、そう言われてみればアヒルを思わせる車体のカラーリングです。

 

ただし、入水時の強烈な水圧に耐え、水を押しのけるための「くちばし」部分は空に向かってナナメに、グイッとせり出しています。この辺だけはちょっぴりペリカン風ですね(笑)。

 

車体後部には水陸両用車の象徴・スクリューが。信号待ちでこのバスの後ろに付いたら思わず二度見をしてしまうこと間違いなしです!

 

 

少し仕組みの話をすると、この水陸両用車は陸上用のエンジンと水上用のエンジンそれぞれ1つずつを搭載しており、共用する燃料タンクからの燃料供給を受けながら、陸上/水上ごとにエンジンを切り替えて走行します。

 

エンジンやバッテリーといった重要な部品が浸水することのないよう、もちろん内部機構の水密性は完璧。船体には錆に強い特殊なアルミを使用し、タイヤホイールにも特殊な塗料を塗布しているのだとか。

 

 

座席はこんな感じ。通常のバスのようにガラス製の窓は無くフレームのみ。車外の空気を直接肌で感じることができます。入水時の水しぶきや雨を防ぐためのビニールシートも取り付けられているため、窓側の席でもストレスを感じることはなさそうです。

 

ちなみにこのバスも含め、水陸両用車は車としての「車検」と、船としての「船検」の両方に合格する必要があり、運転には車の大型免許+2級以上の船舶免許が必要なのだそうです。いくら車体がハイブリッドとはいえ、こういった事務作業はきっちり2つ分やらなければならないのですね…!車と船、二倍の手間をかけて初めて「水陸両用」の便利さが実現するんですね。

 

さあ、いよいよ乗車(乗船)!ワクワクしながらタラップを上がります! ※試乗風景は動画でお楽しみください。

 

 

急角度で水にダイブする際のスリルは、まるでアミューズメントパークのアトランクション!久しぶりにおなかの辺りがヒュッとなる感覚を味わいました~!(笑)入水時こそスリルを感じましたが、水に浮いている時はゆったりとしたもので、遊覧船のような雰囲気をのんびりと楽しむことができます。

 

上陸直前には陸上走行用のエンジンがスタートし、まだ水中にあるタイヤも回転を開始。そのままゆっくり接岸すると同時にタイヤが地面を捉え、スムーズに上陸するのです。入水時とは反対に、海と陸のつなぎ目を感じさせない安心感があります。いや~楽しかった!

 

残念ながらこのバスは10月以降、神戸の観光ツアー用に就航することが決まっており、新潟県内で稼働する予定はないそうです。神戸での就航に関する詳細はまだ非公開とのことですが、実際に乗ってみたいという方はぜひ情報を探してみてくださいね。