新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。第11 回目は新潟市でガラス作家として活動している近藤 綾さんの器です。

マットな質感が独特のまるいおさら(7,200円)。たんぽぽのうつわ(14,000円)にはかきのもとのお浸しを盛り付けて。蝶々結びをイメージしたという、むすびの箸置き(1,400円)も愛らしい。「懐かしい気持ちになれて、なんかリラックスできる…そんな作品を作り続けていきたいです」。

暮らしに優しく寄り添う 懐かしくて新しいガラス

ガラスでありながら、陶器のようなぽってりと温かい質感を合わせ持つAya Kondoの器。フォルムや図柄は個性的でちょっと斬新、なのにどこか懐かしさを感じる。ガラスなのに温かく、新しいのに懐かしい。対極的な要素が自然と共存する不思議な魅力。それが近藤 綾さんの作品だ。

近藤さんの作業部屋に置いてあった過去の作品。中にはもう作っていないというレアな作品も。美しいガラスの作品、眺めているだけで不思議な魅力に引き込まれていく。

テキスタイルを学ぶために進学した長岡造形大学でガラスの魅力に出会った近藤さん。中でも、近藤さんを魅了したのはチェコの伝統工芸・ガラスボタンだった。

近藤さんが作ったガラスボタンを敷き詰めて作ったプレート(非売品)。

「実用品であり、装身具としても人々の生活に寄り添っている感じがとても素敵で。自分でもガラスボタンの模様を作ってみたいと製作を始めたのが、この世界に入るキッカケでした」。

最近はこういったオブジェ的な作品も制作しているそう。ガラスボタンを組み合わせた様子は、まるで大輪の花火のようにも見える。

ガラス作家としてのルーツとなったチェコのガラスボタン、そして、芸術の世界に足を踏み入れるそもそもの動機であったテキスタイル、どちらも現在の作品に生かされている。

独特な世界観を持つ近藤さんの作品。彼女にしか見えない、彼女にしか作れない世界がある。※左の小皿は近藤さんのお知り会いのガラス作家さんの作品。

丁寧に扱わなければ割れてしまう儚さを持つ一方で、手をかければ修復もできるガラス。造形もさまざま、透明もあればマットもあり、美しさは無限大だ。その魅力を伝えたいと、ワークショップや市民工房の講師などを積極的に行ってきた近藤さん。

近藤さんは笑顔が絶えない“陽”な人。明るくて、芯が強くて…そんな彼女の人柄も作品に表れている。

今後は新潟市西区内野町にある「Hygge Plant Shop」の2階「Kopfkino」で、月に一度ワークショップを開催していくそう。周りをぱっと明るくする近藤さんの人柄に触れながら、ガラスの魅力を体感してほしい。

近藤 綾さんの器の数々

青のプレート(7,200円)、おちょこ(各6,800円)は、どちらもすりガラスの質感が涼やかで美しい。プレートは料理を盛り付けてもいいし、アクセサリーや小物を置いてもかわいい。「使い方はその人次第で自由自在。いろいろな使い方をしながら、ガラスを楽しんでほしいです」。
右に散りばめてあるのが、近藤さんのルーツとなったチェコのガラスボタンを自身の図柄で作りあげたオリジナルのガラスボタン(2,300円)。そのガラスボタンを埋め込んで作ったボタン小皿(4,800円)。ひっくり返すと、ボタンの図柄がくっきりとわかる。
くろのダイヤ(12,000円)。テーブルに置いてあるだけで存在感を放つ25cm四方程度の大鉢は、「テキスタイルが好き」という近藤さんの作風を象徴する一枚。大きくても重たい印象にならないのはガラスならでは。
左上から時計回りに、くろかさなり(1,800円)、くろぐるぐる(1,800円)、きいろまる(2,300円)、くろいおさら(1,800円)。豆皿~小皿サイズ。古代の壁画や遺跡、建築などからデザインが生まれることも多く、カンボジアまで遺跡を観に行ったこともあるほど。

作家Profile
近藤 綾さん/新潟市生まれ。長岡造形大学でガラスや工芸についてを学び、卒業後渡米。現地の美大でガラスについての知識・技術を一層深める。ワークショップや個展などを通じて、ガラスの魅力を発信し続けている。
Instagram:@ayakondo_glass

※近藤さんの作品は、新潟市中央区にある知足美術館のミュージアムショップでも販売。今度さんご自身が運営するCreema、BASEでのネットショップへは、インスタグラムアカウントよりアクセスしてください。

photo:中田洋介 <中田写真事務所>