【お知らせ】

4月20日(土)に予定されていた朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター公演は、メンバー・HSUさん(B)の体調不良のため、 急遽中⽌となりました。チケットの払い戻しや振り替え公演等の対応に関する情報は、キョードー北陸のオフィシャルHPをご確認ください。

 

■ほとんど毎日、新しい曲を作っています

 

 NHKの2018年サッカーテーマソング「VOLT-AGE」。この曲を通じて初めてSuchmosの音楽に触れた人も多いのではないでしょうか。

 

 昨年は、各地の大型ロックフェスティバルに出演したり、2日連続で行われた初の横浜アリーナ単独ライブのチケットがすべて完売になったりと、ますます大きな注目を集めている彼らが、3作目のフルアルバム『THE ANYMAL』(ジ・アニマル)を3月27日(水)にリリース。その新作を携えて全国7都市を巡る全国ツアーで、4月20日(土)に新潟市・朱鷺メッセにやって来ます

 

 そのライブに先立ち、メンバーの1人でキーボードを担当するTAIHEI(タイヘイ)さんが新潟を訪れ、ニューアルバムについて、そして朱鷺メッセでのライブに向けて、話してくれました。

 

 

「僕らの活動は、特に去年から今年にかけて、幅も規模も大きく広がりました。でも、いろいろなことをやりながら、それ以前と同じように、ほぼ毎日といっていいくらい、今も新しい曲を作り続けているんですよ。いつまでにアルバムを完成させなきゃいけないとか、この日に作品を出そうとか、そういうことは考えないで、とにかく曲の種(曲のもととなるアイデアや発想)をまくことから始めて、それを育てていくことをいつでもやっています」

 

 メンバー6人全員がそれぞれにアイデアを出し、それをもとにイメージを練り上げて、曲を完成させるのだそうです。

 

「僕個人のことでいえば、どの楽器を使うか。それをまず考えます。このバンドで僕は、ピアノ、オルガン、エレクトリックピアノ(1950年代から使われきた独特の音色を持つ電気楽器)、そしてシンセサイザー。4種の楽器を弾いています。みんな鍵盤楽器ではあるんですけど、それぞれに音色はもちろん、生まれてきた歴史や背景、弾き方も違いますから、それをよく知った上で、新しい曲を生み出すためにはどの楽器を、どんな弾き方で使うかを決めていくんです

 

 こうした楽器や音楽への向き合い方は、メンバー6人に共通しているようです。ポップスやロックの長い歴史はもちろん、クラシックも含めた多彩な音楽の要素を自然に消化することが、Suchmosの音楽を作り上げることに生かされているのでしょう。

 

 

■「感覚」ではなく、「根拠」が必要だと思うからです

 

 TAIHEIさん自身も自分が弾く楽器が持つ背景や歴史を知るために、かなり深くまで掘り下げているといいます。

 

「例えば、オルガンは、ヨーロッパに中世から教会で演奏されていたパイプオルガンの原型があって、さらにさかのぼれば紀元前に水オルガン(水力で風を管に送り込み、手で弁を開閉させて演奏する)の断片がエジプトで発掘されています。そこまで知りたいと思うのは、Suchmosの曲を作り上げるために、ただ感覚で楽器や音色を選ぶんじゃなくて、その楽器をその音で弾く根拠が必要だからです

 

 感覚ではなく根拠。裏付けのない感覚で決めるのではなく、確かな根拠に基づいて選ばれた音色は、どんな形でSuchmosの曲に生かされているのでしょうか?

 

「仮に、ある曲で描かれる世界があったとして、その情景の中で、僕が弾く鍵盤楽器の音色が果たす役割は、『月』を表すことだなとか、そういうふうに発想します。『月』を聴く人に感じてもらうためには、必ず根拠が必要なんです。その根拠を見つけたいから、最近はクラシック、それもかなり古い時代の曲を聴くことが多くなっています」

 

 ロックやポップスといった狭いジャンルの領域を軽々と超えて、自分たちの音楽を生み出しているSuchmosの音楽の「根拠」は、こうしたメンバーの音楽への向き合い方にあるのでしょう。メンバーそれぞれが根拠に基づいて出したアイデアが1つになって、Suchmosの曲は完成していきます。

 

「といっても、曲ができていくプロセスで、メンバー同士お互いに、具体的な音のことを話すことはほとんどないんですよ。それよりもむしろ、さっきもお話ししたように、曲が描き出す世界、その世界観について話し合っています。その世界にはどんな情景が広がり、どんなストーリーが展開していくのか。それを話し合って全員が一致したら、それぞれが出す音を決めていったり、ボーカルのYONCE(ヨンス)の場合は歌詞を考えたりして、曲を作り上げていくんです」

 

 メンバー全員が、それぞれに持つ「根拠」から生まれた音楽的なアイデアがニューアルバムでも、その発端となりました。

 

「発端から到達した結果として、僕個人についていえば、シンセサイザーを使った曲が全部で12曲の中で、2曲だけだったということがあげられると思います。ほかの10曲では、シンセサイザーに比べれば長い歴史と背景の上に存在している楽器ばかりを弾いています」

 

 しかし、Suchmosは、過去の音楽を再構築しているわけではありません。音楽の歴史と蓄積を理解した上で、それを2019年を生きる我々にしっかりと伝わる音楽に作り上げています。

 

「例えるなら、僕らは下半身を古代から20世紀、21世紀まで続く過去にうずめながら、上半身は今の時代にさらして、その風の動き、時間の移り変わりを敏感にとらえて、自分たちの音楽を生み出していきたいと、いつも考えています」

 

「『ジ・アニマル』と呼んで親しんでもらえたらうれしいです」(次のページへ)