新潟市美術館で1月12日から始まった「東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館収蔵 東郷青児展」。憂いを帯びた女性像で知られる洋画家・東郷青児が残した絵画の変遷をたどる約80作品と共に、有島生馬(いくま)、中川紀元(きげん)ら東郷旧蔵の関連作家作品も展示しています。
東郷青児◆1897年、鹿児島市に生まれる。1916年、19歳の時に初出品した「第3回二科展」で二科賞を受賞し、鮮烈な画壇デビューを飾る。以後、気鋭の前衛画家として活躍し、21年に渡欧。フランスではパブロ・ピカソや藤田嗣治らとも交流。28年に帰国した後は、“大衆に愛される絵画”を理想とした作品に取り組み、戦後は二科展を中心に画壇復刻に尽力しました。
同日行われた開場式では、今展に協力した東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館館長ら関係者、メディアが出席しました。
それでは展示室内へと進んでいきます。
1915年の初個展での出品作をはじめ、1910年~20年代の前衛的な作品の数々が並びます。
そして1930~50年代の作品へ。“憂いを帯びた女性像”で知られる通り、淡く繊細な色使いと白く透き通るような肌、しなやかなしぐさ、伏し目がちに描かれた「青児美人」たちが数多く登場します。
柔らかなウェーブヘア、長めに描かれたまつげ。さらに滑らかな影のグラデーションから生まれる丸みある体の立体感。独特の美しさと洗練された画風に魅了されます。