メンバーの出身地、沖縄県うるま市東屋慶名(ひがしやけな Higashi Yakena)の頭文字をバンド名とするHYは、来年で結成20周年を迎えます。このアニバーサリーイヤーに向けて、すでにさまざまなことを始めている彼ら。その1つとして、およそ2年ぶりとなる新たなオリジナルアルバム「RAINBOW」を2019年6月にリリースしました。

 

 

「来年、20周年を迎えることができるのは、本当にたくさんの皆さんが、HYの音楽を好きでいてくれたからだと思います。そのことへの感謝の意味で、僕らがやらなきゃいけないこと、やるべきことはいろいろあると思うんですが、バンドとしては何より新しいアルバムを作ることだと、僕らは考えたんです」

 

 

長い間、活動を続けてきたHYにとって、前進を止めることなく新しい音楽を生み出していくことが今も何よりも大切なことだと、ボーカルとギターを担当する新里英之さんは話します。

 

 

「去年、僕らとしては初めてセルフカバーも含めたベストアルバム『STORY ~HY BEST~』をリリースしました。それに続いて、全国47都道府県すべてを巡るツアーをしたんです。そのツアーでは、メンバーそれぞれのキャラクターに合わせてシンボルカラーを決めて、ライブの内容に生かしたんですよ。僕が沖縄の海の青。仲宗根泉は、情熱の赤。許田信介は、大人の雰囲気があるから紫。宮里悠平は、自然の緑。名嘉俊が太陽の光を象徴する、黄。そして、お客さんたちは、僕らといつも1つの空でつながっているという意味で、スカイブルー。それで、もう1色、新しい色をみんなで見つけて、全部で7色の虹を作ろうという思いで、前回のツアーを行ったんです。ツアーを終えて、僕らとしては、それまではなかった新しい色が見つかった、お客さんたちと一緒に虹を作ることができたと思えたんです。それで今度のアルバムは、20周年に向けて虹をかけていこうという意味を込めて、タイトルを『RAINBOW』にしようと最初に決めて、制作を始めました」

 

 

HYが結成20周年に向けてかけていきたいという「虹」は、どんなふうに見えるのでしょうか? その答えを想像するヒントは、HYというバンドが、人に例えるならば「成人」を迎えるということにありそうです。

 

 

「成人になるまでに、たくさんの経験を積んできたということはいえると思います。デビューして間もなく、それまでは想像もしなかったくらい全国の人に知ってもらえるようになったり、そのことで逆にとても強いプレッシャーに押しつぶされそうになったり、いろいろな状況に置かれることを味わってきました。でも、どんな状況にあっても自分たちの音楽を生み出したい、そして、その音楽をできるだけ多くの人に届けたいという気持ちは、いつも持ち続けてきたつもりです。それで、実際に20周年が迫ってきた今、特に強く感じているのは、もう前には戻れないということです。結成したばかりのころ、メンバー同士でお互いに遊びと同じ感覚で曲を持ち寄っていたようなことは、大勢の人たちに僕らの曲を愛してもらっている今は、もうできません。ただ、そのときの延長で、曲を作って感じていたワクワクする気持ちを、今はもっと多くの人の心に届く曲にすることができるようになりました。最初のころの気持ちを忘れずに、誰とでも共有できる曲を生み出すこと。それにあらためて挑んだのが、今度の『RAINBOW』というアルバムなんです」

 

HYというバンドをこれからも育てていってもらえるようなライブをやりたいな(次のページへ)