■カッコいい曲、形にとらわれない曲を作って歌いたい
ライブを重ねることで、オリジナル曲を増やしていった果歩さん。東京で活動するようになってから、歌詞や曲調に変化があったといいます。
「新潟にいたころは、自分の中でいろいろなことを想像して、曲を作っていたんです。でも、東京で1人暮らしを始めて、それまでとは違う経験をするようになってからは、その経験をきっかけにして曲を作れるようになりました。いちばん違ったのは、新潟にいたころは私と同じ年代で自分で曲を作って1人で歌う女の子に出会うことがほとんどなかったのに、東京にはそういう人たちがたくさんいたこと。同じ志や異なる個性を持っている、たくさんの人と知り合うことで、とても刺激を受けるようになりました。あとは、音楽活動を本格的にはじめてからバンドの音楽も好きになって。自分で作るのも、可愛い曲というよりは、かっこいい曲が増えてきたかな。自分で弾き語りもできるけれど、その形にとらわれない曲を作って歌っていきたいと、今は思っています」
彼女の今の音楽は、10月にリリースした最新作「水色の備忘録」を聴けば分かるでしょう。その収録曲が魅力的な理由の1つに、歌詞の視点が複数あることが挙げられます。例えば、ある曲では2人の女の子、また別の曲では女性と男性というように、異なる人の視点から、一つの物語が語られます。しかも、明確に書き分けられているのではなく、2人が感じることが渾然一体となって、とても自然に1つの歌となって聴く人に届けられます。こうした曲を作って歌えるのが、彼女のシンガーソングライターとしての個性といえるのではないでしょうか。
「小説をつづるような感覚で歌詞を書くようになったんです。自分の中にある感情をそのまま言葉にするのではなく、登場人物を私なりに思い描いて、その登場人物を通じて、曲で何かの物語を描けたらと思っています」
そんな楽曲たちを収めた最新作では、木村カエラさんの楽曲の作曲やライブサポートでも知られる會田茂一さんと中村圭作さんのユニット・mulletや、彼女と同じ新潟出身のバンド・a crowd of rebellionのメンバー、丸山漠さんが編曲を手掛けています。
「mulletのお2人に編曲していただいた曲は、とても新鮮でしたね。自分の曲に電子音など新たな響きが加わって、私の音楽に新たな可能性が生まれた気がしています。漠さんは新潟にいたころからの知り合いで、以前も別の曲を編曲してくださったことがありました。今回お願いした曲は、私の中ではもっとゆったりした感じにするつもりだったんですよ。でも、漠さんが『もっと速いテンポにした方がかっこいい曲になると思うよ』とアドバイスしてくれて。私が好きで聴いているようなバンドの曲に、どこか通じる曲調に仕上げていただけました。この曲も、今までにない感じにできたと思います」
最新作を作り上げて、シンガーソングライターとしての新たな可能性を見出した彼女は、11月29日(金)に新潟市でライブを行います。
「東京でたくさんのことを経験して、自分自身の音楽も変わったと思える今だからこそ、私が歌うことを始めた新潟の皆さんに、私の歌を届けたいと思っています。今度のライブでは、あらためて地元の新潟を大切にしたい。そういう私の今の思いをお伝えできたらと願っています」
◆果歩「水色の備忘録」リリースツアー 新潟編
【日程】11月29日(金)18時30分開演
【会場】新潟CLUB RIVERST
【料金】前売り2,000円、当日2,500円(スタンディング・ドリンク代別)
【備考】チケット発売中
対バン/Bamboo、Sound Sleep O.A./ちょこっとちょこれーと
【問い合わせ】CLUB RIVERST 【TEL】025-250-0430
かほ●2015年8月、15歳のときに新潟でライブ活動を開始。18年4月からは、東京に拠点を移して活動を継続。19年2月には、シングル「光の街」をリリース。10月には初めてのワンマンライブを東京都内で行った。
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