新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。第2回目は十日町市にある「村山大介陶芸研究所」です。

日用品でありながら 使うことで気分が上がる
器のふちや胴から腰にかけてを端正に彩るしのぎ模様。稜線によって生まれる陰影が、温かみのある華やかさを作り出す。このしのぎ模様が「村山大介陶芸研究所」の作風の一つ。

実はこれ、お客さんの声から生まれた形。「カップの下までしのぎ模様が入っていたらかわいいのに…と言われて作り始めたら評判がよくて。次第にお客さんたちから“しのぎの村山さん”なんて呼ばれるようになりました(笑)。お客さんあっての仕事だから、リクエストは大事にしたいんです」。

棚には、たっぷり入るカフェオレボウルや刺し身が似合うたわみ皿など、お客さんの希望から生まれた器が数多く並ぶ。

作陶家の村山大介さんは十日町市出身。自宅の車庫を作業場にして器を作り、母屋の一室で展示販売を行っている。現在も一個から注文を受け、「陶磁器なら何でも作ります」と謳う頼もしい作陶家。しかも、根っからの器好き。全国各地の窯元の器を買い集め、趣きや使い心地を楽しんでいる。

「さまざまな器に触れることで、自身の方向性がより明確になりました」と語る村山さんの器は、日用品でありながら使っていて気分が上がる、実用性と美しさを兼ね備えた潔くてシンプルなもの。「食器が作りたい、いい形が作りたい」といった作り手の衝動に、使い手の「こんな器があったらいいな」を重ねた村山陶芸研究所の器。食器棚にテーブルに、暮らしの一部にあるだけで心が弾む。
村山大介陶芸研究所の器の数々




作陶家Profile
村山大介さん/岐阜県にあった陶芸の専門学校に通った後、新潟や大分県で経験を積む。2004年、生まれ育った十日町市にて「村山大介陶芸研究所」を創業。器作りに加え、陶芸体験や器の金継ぎなども行っている。
店舗情報
店舗名 | 村山大介陶芸研究所(むらやまだいすけとうげいけんきゅうじょ) |
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住所 | 十日町市伊達甲236 |
TEL | 025-758-2690 |
営業時間 | 11時~17時 |
定休日 | 不定休(HPやSNSで随時お知らせ) |
駐車場 | 5台 |
備考 | 自宅ギャラリーは事前連絡で都度対応可能。JR新潟駅構内にある「CoCoLo新潟西N+ ぽんしゅ館 クラフトマンシップ 」でも取り扱いあり。 |
photo:中田洋介 <中田写真事務所>