新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。第2回目は十日町市にある「村山大介陶芸研究所」です。

ご飯茶碗(M3,080円)。サツマイモが映えるトルコ青は村山さんが学生時代に出会い、心ひかれた色。今ではこのトルコ青も村山大介陶芸研究所を象徴する要素の一つ。奥の茶碗には、なんとコシヒカリのもみがらを灰にして作った釉薬を使用。米どころ新潟ならではの一皿。

日用品でありながら 使うことで気分が上がる

器のふちや胴から腰にかけてを端正に彩るしのぎ模様。稜線によって生まれる陰影が、温かみのある華やかさを作り出す。このしのぎ模様が「村山大介陶芸研究所」の作風の一つ。

鉢や平皿、長方皿など、使いやすく普段の食卓に映える器がずらり。

実はこれ、お客さんの声から生まれた形。「カップの下までしのぎ模様が入っていたらかわいいのに…と言われて作り始めたら評判がよくて。次第にお客さんたちから“しのぎの村山さん”なんて呼ばれるようになりました(笑)。お客さんあっての仕事だから、リクエストは大事にしたいんです」。

自宅の一部をギャラリーにしていて、こちらで購入できる。

棚には、たっぷり入るカフェオレボウルや刺し身が似合うたわみ皿など、お客さんの希望から生まれた器が数多く並ぶ。

おうちの雰囲気がそのまま残るギャラリー。ゆっくり楽しみながら、器選びを楽しめる。

作陶家の村山大介さんは十日町市出身。自宅の車庫を作業場にして器を作り、母屋の一室で展示販売を行っている。現在も一個から注文を受け、「陶磁器なら何でも作ります」と謳う頼もしい作陶家。しかも、根っからの器好き。全国各地の窯元の器を買い集め、趣きや使い心地を楽しんでいる。

「さまざまな器に触れることで、自身の方向性がより明確になりました」と語る村山さんの器は、日用品でありながら使っていて気分が上がる、実用性と美しさを兼ね備えた潔くてシンプルなもの。「食器が作りたい、いい形が作りたい」といった作り手の衝動に、使い手の「こんな器があったらいいな」を重ねた村山陶芸研究所の器。食器棚にテーブルに、暮らしの一部にあるだけで心が弾む。

村山大介陶芸研究所の器の数々

「緑伊羅保」という深い緑色が印象的な釉薬を使ったグラタン皿(大9,350円、小6,050円)。なんとこちらは直火もOKなので、キッチンのガスレンジやカセットコンロでも使える。「チーズフォンデュやアヒージョ作りにもぴったりです。キャンプとかに持って行ってほしいですね」(村山さん)。
ヨーロッパの人に「コーヒー&ミルクがそれぞれ180cc以上入る本場仕様のカフェオレマグはないのか?」と聞かれたことをきっかけに生まれたカフェオレマグ(5,720円)。しのぎマグカップ(4,180円)はロングセラーの定番商品。どちらも風合いの異なる6種の釉薬を用意。
長辺31cmほどの長さの理由は「サンマ一本がのるサイズで」とお客さんにリクエストされたから。手前は村山さんが「シャーベット」と呼ぶ、青みがかった白いマットな釉薬をかけたもの。トルコ青、シャーベットともに食材の色味を引き立ててくれる。長方皿(6,050円)。
こちらのたわみ皿(6,050円)も「イカの刺し身を盛り付けたい」というお客さんのリクエストから生まれた商品。刺し身などの冷たい料理はもちろん、卵焼きや塩焼きそばといった温かい料理もよく似合う。このたわみ皿をきっかけに、全面トルコ青の器が増えていったそう。

作陶家Profile

村山大介さん/岐阜県にあった陶芸の専門学校に通った後、新潟や大分県で経験を積む。2004年、生まれ育った十日町市にて「村山大介陶芸研究所」を創業。器作りに加え、陶芸体験や器の金継ぎなども行っている。

店舗情報

店舗名 村山大介陶芸研究所(むらやまだいすけとうげいけんきゅうじょ)
住所

十日町市伊達甲236

TEL 025-758-2690
営業時間 11時~17時 
定休日 不定休(HPやSNSで随時お知らせ)
駐車場 5台
備考

自宅ギャラリーは事前連絡で都度対応可能。JR新潟駅構内にある「CoCoLo新潟西N+ ぽんしゅ館 クラフトマンシップ 」でも取り扱いあり。

photo:中田洋介 <中田写真事務所>