新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。第9回目は新発田市にある「ギャラリーショップ草舟」です。

またとない日々を綴った まるで絵日記のような器
まるで絵本の世界から飛び出したようなカラフルで幻想的な世界。描かれているモチーフは猫が中心。それもどこか気の抜けた、なんとも愛くるしい猫。作り手の平野照子さんは作陶家であり、「ギャラリーショップ 草舟」のオーナーでもある。もちろん猫と暮らし、猫の保護活動にも力を入れている。

各地から集めた猫にまつわる作品を展示販売する企画展「猫だすけ展」は、今年で8回目を迎えた。「助け」と新潟弁の「だすけ」を掛けたこの企画展、売り上げの一部は猫の保護活動に寄付しているそう。もともとはオブジェ作家として長年活動しており、近年は器作りにも力を入れている。

平野さんの器に描かれるのは、漆黒の夜空に浮かぶ星や、夜の庭に訪れる野生のフクロウ、今日見つけた美しい草花、おいしかったお団子…豊かな自然に囲まれた新発田市菅谷での暮らしで起こる日々のこと。

「絵日記を付けるような感覚で器作りをしているのかもしれません。だから、同じ絵柄は二度と描けないんです」。

どの作品も一期一会。ギャラリーに足を運ぶたび、出会える作品は変わっているかもしれない。けれど、それもまたアートに触れる楽しみの一つ。

この愛くるしい器はもちろん、長い月日をかけて計画した月ごとに変わる企画展では、さまざまなジャンルで活躍する作家の作品にも出会える。平野さんのギャラリーは週末限定、ぜひ訪れてほしい。

平野照子さんの器の数々




作家Profile
平野照子さん/宮城県出身。2011年に起きた東日本大震災で多くの友人を失ったことをきっかけに、「力の限り精一杯生き抜こう」と、ギャラリーを開設。作陶家とギャラリーオーナーの両輪で、陶芸の世界に携わっている。
店舗情報
店舗名 | ギャラリーショップ 草舟 |
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住所 | 新発田市菅谷1667-4 |
TEL | 0254-29-0260 |
営業時間 | 11時~18時※各企画展の最終日は17時まで |
定休日 | 月~金曜 |
駐車場 | 1台 |
外部リンク | https://kusafune.stores.jp/ |
備考 | 陶芸教室も開催。詳しくは問い合わせを。 |
photo:中田洋介 <中田写真事務所>