新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。第6回目は弥彦村にある「莢陶窯(きょうとうがま)」です。

思わず手に取りたくなる 個性豊かなユニークさ
弥彦山の麓、木々に囲まれた弥彦参道杉並木の先にひっそりと工房を構える莢陶窯。もともと設計士として商業建築の世界で活躍していた菅原 洋さんが、「いつかはこの手で“用の美”としての土の器を作りたい」と、この地に移住し、開窯した。

工房には小さな売り場が併設されており、壁いっぱいに所狭しと器が並ぶ。30種ほどの釉薬を使い分けるという菅原さんの作品は、色合いや絵柄が実に個性豊か。

弥彦村の銘菓「玉兎」や、西蒲区が誇る美しい景観「夏井のハザ木」を描いた器がある一方、女体をモチーフにしたというアーティスティックな器や花器もある。

形もユニークで、「これは何に使うんだろう」「これには何を入れよう」と、思わず手に取ってみたくなる作品ばかりだ。「長いこと使ってほしいから、扱いやすいように、薄く、軽く仕上がるよう心掛けています。あと、器の用途と色味の関係も大事にしているかな。例えば、ごはん茶碗ならごはんが映えるように、コーヒーカップならコーヒーの色味を邪魔しないようにといった具合にね」と菅原さん。

白髪に髭を貯えた風貌はまさに芸術家といった雰囲気だが、気さくで話しやすく、しかも話し始めると、芸術に対する深い愛情が止まらない。菅原さんとの会話の中にもさまざまな発見がある。

ぽんしゅ館 新潟驛店」や「いわむろや」などでも取り扱いがあるが、 莢陶窯の器はぜひ工房で触れてほしい。
莢陶窯の器の数々




作陶家Profile
菅原 洋さん/東京都出身。日本大学芸術部工業デザイン学科で学んだ後、大手ゼネコンで20年余、設計士として勤務。その後、弥彦村に移住し開窯。日用品としての器からお茶道具まで、さまざまな陶器を作成している。
店舗情報
店舗名 | アトリエ・プチ・ポワ 莢陶窯 |
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住所 | 西蒲原郡弥彦村弥彦3407-1 |
TEL | 0256-94-5410 |
営業時間 | 9時~17時 |
定休日 | 月曜 |
駐車場 | 2台 |
備考 | 陶芸教室も実施中。詳しくは問い合わせを |
photo:中田洋介 <中田写真事務所>