瓦の一大産地として有名な阿賀野市(旧安田町)。瓦の装飾や鬼瓦などの瓦アートを楽しみながら散策できるストリート「やすだ瓦ロード」や2018年にオープンした、地元の名産や旬の食材を味わうことができる「瓦テラス」など、近年は観光スポットとしても注目を集めている地域です。

そんな安田エリアで新たな事業「トラウトサーモンの養殖」が行われているということで、今回養殖現場を見学してきました!

 

温泉で生まれ育ったサーモン!?

やってきたのは「安田温泉やすらぎ」
魚の養殖と温泉がどうリンクするの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
こちらでは同敷地内にある、倉庫として使用していた場所を改装して養殖場を作ったそうです。

温泉はもちろん、岩盤浴や月替わりの大衆演劇が人気の安田温泉やすらぎ。

瓦の保管倉庫を養殖場に。建物の入り口の屋根には味のある安田瓦が。

 

試行錯誤を繰り返した2年間

安田温泉やすらぎを運営するヤマキ観光では、2017年12月にトラウトサーモンの養殖事業を開始プロジェクトリーダーの木村正人さんによると、当初は温泉のPRになればとの思いで始めたプロジェクトだったそうです。

「右も左も分からない世界で、始めたころは失敗の連続でした。1年目は卵10,000個でスタートしましたが、トラブルもあり稚魚の段階で半分以下になりました」と木村さん。

自らふ化キットを作ったり、外からの光を遮断し、代わりに赤色LEDを設置するなど、トライアンドエラーを繰り返しながら魚の成長にとって良いと思われることは、どんどん取り入れていったといいます。

 

地元の資源や特産品を生かした養殖

ゆたからサーモンの特徴のひとつがエサ。こだわりの配合飼料に加えて、ホエイを与えているというので驚きました。ホエイとは、ヨーグルトの製造過程で生まれる栄養価の高い副産物。安田地域には「ヤスダヨーグルト」があり、そちらのホエイを使用しています。

ヨーグルトのホエイと、専用の配合飼料を与えることで味わい深い高品質なサーモンに。

ほかにも、温泉水を活用したエサ作りや温泉で使用するろ過機で物理ろ過を行うなど、自社で運営する温泉の技術も養殖に生かしています。

 

環境閉鎖型陸上養殖で無投薬システムを確立

もうひとつの特徴は、隔離型の施設で育成しているということです。新潟県では初となる環境閉鎖型陸上養殖を実現しました。

最大のメリットは、鳥や寄生虫をはじめとする周囲環境による汚染の心配がない点。そのため薬品を一切使わなずに養殖することができ、安心・安全なサーモンを消費者に届けることが可能です。
「夏でも室内が25度程度と暑くなり過ぎず、水温も18度前後に抑えることができているというのもポイントです」と木村さん。

豊かな環境と木村さんの愛情がたっぷりと注がれたサーモンは、およそ2年で体長45センチ・体重2キロにまで成長。約1,800匹が出荷できる見通しとなりました。

 

おすすめの食べ方は刺し身!

お待ちかねの試食タイム!貴重な「ゆたからサーモン」を刺し身でいただきました。「無駄な薬品を一切使用していないため生で食べても安心です」と木村さん。
見た目は通常のサーモンよりも赤っぽい感じ。臭みもなく、適度に脂が乗っていて上品な味です。

2019年11月8日(金)、プロジェクトを協力・応援した関係者を中心とした「ゆたからサーモン お披露目会」が開催。木村さんは「多くのみなさまから支援をいただき、保田地域のみならず阿賀野市のPRになる事業となりました」と喜びを口にしていました。

昨年生まれた稚魚は現在12,000匹ほど。まずは安定的に供給できるようになるのが目標だそうです。
そして「キレイな水を生かしたワサビ栽培なんかも展開していきたいです」と今後の夢も力強く語ってくれました。

「ゆたからサーモン」の本格的な販売は来年春ごろの予定。それまではイベントでの販売や試食会、同温泉の宿泊プランの目玉として提供していくそうです。
新潟では「新潟伊勢丹」で11月末から期間限定で販売。要チェックです!

ひとりの男の熱い思いから誕生した、安田温泉の「ゆたからサーモン」。阿賀野市の風土・特産・技術のすべてが集約された養殖サーモンが、新たな名物として浸透していくのもそう遠くないかもしれません。

 

 

■お問い合わせ
安田温泉やすらぎ
[電話番号]0250-68-1555
[ホームページ]http://yasudaonsen.com/