新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。第7回目は津南町にある「works 結陶」です。

アワビをイメージして作ったという、その名もアワビの鉢(大8,000円)。今回は夏野菜が主役のカプレーゼをのせて。撮影用に本物のアワビの殻も用意してくれました。「野菜をざっと盛り付けたサラダにも合うし、煮物や汁物にも、もちろん合います」。

自分だけの変化を楽しむ 器を育てるという感覚

津南町や十日町でとれた粘土で作る「妻有焼」。瀧澤芳彦さんは、現在5名いる妻有焼作家の一人。妻有焼の創業者である吉田 明氏の作品に影響を受け、10年ほど前に「works 結陶」の名で開窯し、本格的に作陶を始めた。

瀧澤さんの勤め先でもある「結東簡易郵便局」で展示販売を行っている。柄、デザイン、大きさ、使い道…さまざまな器がずらりと並ぶ。

焼き上がると黒く仕上がる妻有の土に白い化粧土をかけ、主に「粉引き(こひき)」や「刷毛目(はけめ)」「三島(みしま)」と呼ばれる器を作っている。中でも特徴的なのが三島。半乾きの素地に、はんこを押したり、絵を彫って模様を描き、できたくぼみに白化粧を流し、文様を出していく技法。文様のある部分とない部分の釉薬のコントラストが実に美しい。

中央や手前にある器が「三島」の技法を用いたもの。

「色味がシンプルだから、どんな料理も盛りやすい。僕自身、食い意地が張ってるので(笑)。おいしく盛り付けたい、おいしく食べてもらいたいという思いで作っています。白い部分は使い込むほど色が変わってきて、その変化がまた楽しいんです。自分だけの変化って感じで、愛着が湧いてくると思います」と、瀧澤さん。

こちらが作陶家の瀧澤さん。作品作りは自宅に自ら作った工房で行っている。

花や葉、幾何学模様といった文様を作るためのはんこも手作り。ぼた雪、桜、蓮、蝶、トンボ…豊かな自然が息づく秋山郷の四季をイメージしながら、はんこ作りや絵柄を描くことが多いそう。

縞模様やドットなど、かわいらしいモチーフも多く、シンプルながら存在感を放ってくれる。

おかずを盛るのにちょうどいい浅鉢から、ご飯茶碗、カップなど、普段使いの器はどれも少しずつ表情が異なる。お気に入りを見つけ、瀧澤さんのいう「器を育てる」感覚を味わってほしい。

「結東簡易郵便局」までは秋山郷を登るなかなかの山道。絶景スポットも多く、これからの季節は観光がてら、ぜひ訪れてほしい。

works結陶の器の数々

三島手五寸線刻浅鉢(各3,000円)。ヘリンボーン(開いた魚の骨)柄の線彫りが、どんな料理もおいしそうに見せてくれる。大きめの取り皿としてはもちろん、深さがあるので、汁気のあるおかずを盛るにもぴったり。同じようでいて違った魅力を放つ手作りのぬくもりが趣き深い。
あたり一面深い雪に包まれた秋山郷に、ゆったりと降るぼた雪の様子が伝わってくるぼた雪湯飲み(各1,500円)。全体に菊紋を施した“これぞまさに三島”といった菊紋急須(5,000円)。間隔を詰めて菊紋を押し、日本の伝統的な文様である麻の葉にも見える絵柄に。
花柄しのぎのカップ(各2,500円)。スープカップとしても使えるよう、まんまるとした大きなデザインに。持ち手のピンと跳ねている部分に親指を置くと、カップが軽く感じるのだとか。この指置きはほかのカップやポット、急須などにも付いている。
ご飯茶碗は2,000円から。左はトキを、右は椿をイメージして描いたもの。ほかにも、千鳥や蝶、
トンボ、桜、花柄などさまざま。内側だけでなく、外側にも細やかな絵柄が施されている。でこぼことしていて、土っぽさの残る素朴な手触りも心地いい。

作家Profile
瀧澤芳彦さん/津南町生まれ。高校生時代、美術の授業で陶芸に触れたことをきっかけに興味を抱き、趣味から始めたという創作活動。現在は郵便局員として働く傍ら、作品作りや陶芸教室の出張講師などを行っている。

店舗情報

店舗名 works 結陶
住所

中魚沼郡津南町結東子646(結東簡易郵便局内)

TEL 090-5751-7035
営業時間 9時~16時
定休日 土・日曜・祝日
駐車場 あり
外部リンク https://www.creema.jp/c/works-k10
備考

上記リンク先の通販サイト「Creema」でも購入可能

photo:中田洋介 <中田写真事務所>