新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。8回目は津南町にある「works 結陶」です。

自分だけの変化を楽しむ 器を育てるという感覚
津南町や十日町でとれた粘土で作る「妻有焼」。瀧澤芳彦さんは、現在5名いる妻有焼作家の一人。妻有焼の創業者である吉田 明氏の作品に影響を受け、10年ほど前に「works 結陶」の名で開窯し、本格的に作陶を始めた。

焼き上がると黒く仕上がる妻有の土に白い化粧土をかけ、主に「粉引き(こひき)」や「刷毛目(はけめ)」「三島(みしま)」と呼ばれる器を作っている。中でも特徴的なのが三島。半乾きの素地に、はんこを押したり、絵を彫って模様を描き、できたくぼみに白化粧を流し、文様を出していく技法。文様のある部分とない部分の釉薬のコントラストが実に美しい。

「色味がシンプルだから、どんな料理も盛りやすい。僕自身、食い意地が張ってるので(笑)。おいしく盛り付けたい、おいしく食べてもらいたいという思いで作っています。白い部分は使い込むほど色が変わってきて、その変化がまた楽しいんです。自分だけの変化って感じで、愛着が湧いてくると思います」と、瀧澤さん。

花や葉、幾何学模様といった文様を作るためのはんこも手作り。ぼた雪、桜、蓮、蝶、トンボ…豊かな自然が息づく秋山郷の四季をイメージしながら、はんこ作りや絵柄を描くことが多いそう。

おかずを盛るのにちょうどいい浅鉢から、ご飯茶碗、カップなど、普段使いの器はどれも少しずつ表情が異なる。お気に入りを見つけ、瀧澤さんのいう「器を育てる」感覚を味わってほしい。

works結陶の器の数々




トンボ、桜、花柄などさまざま。内側だけでなく、外側にも細やかな絵柄が施されている。でこぼことしていて、土っぽさの残る素朴な手触りも心地いい。
作家Profile
瀧澤芳彦さん/津南町生まれ。高校生時代、美術の授業で陶芸に触れたことをきっかけに興味を抱き、趣味から始めたという創作活動。現在は郵便局員として働く傍ら、作品作りや陶芸教室の出張講師などを行っている。
店舗情報
店舗名 | works 結陶 |
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住所 | 中魚沼郡津南町結東子646(結東簡易郵便局内) |
TEL | 090-5751-7035 |
営業時間 | 9時~16時 |
定休日 | 土・日曜・祝日 |
駐車場 | あり |
外部リンク | https://www.creema.jp/c/works-k10 |
備考 | 上記リンク先の通販サイト「Creema」でも購入可能 |
photo:中田洋介 <中田写真事務所>