新潟の地で作られる器を季節の料理とともにめぐる連載。第4回目は阿賀野市にある「笹神焼 宮下窯」です。

おいなりさんを盛り付けるアイデアは渡部さんの奥様によるもの。おそろいの箸置き(100円)と湯飲み(800円)も添えて。
普段ごはんによく似合う 気取らない器の数々
五頭山の麓に広がる笹神地区で、日用品としての器作りを行う「宮下窯」。阿賀野川が運んできた良質な粘土を使って、色とりどりで形や大きさもさまざまな器を作っている。「原料が豊富なこのあたりには、かつていくつもの窯があったんですよ」と、教えてくれたのは陶芸作家の渡部久男さん。新潟県の安田焼、福島県の会津本郷焼、そして茨城県の笠間焼、3つの産地で陶芸を学び、25年前に自身の窯を開窯した。

渡部さんに「宮下窯の作風とは?」と尋ねてみたところ、微笑みとともに返ってきた言葉は「作風…まだそれがわからないんですよねぇ」。25年経った今も日々進化、日々挑戦。

25年経った今も日々進化、日々挑戦。特に、釉薬をかけず高温で焼成する「焼締め」といった技法で作る器は、毎回焼き上がりが異なり「思い通りにいかなくてやめられない、また焼きたくなる」のだそう。

土の肌が直に伝わる荒々しさが美しい焼締めから、水面を彷彿とさせるような青い線が散りばめられた飛び鉋、やわらかな色彩を放つ釉薬の数々…工房には個性豊かな器や花器が並び、お気に入りの一点を見つけたくなる。価格も小皿600円程度、ご飯茶碗1300円程度と手を伸ばしやすい設定なのがうれしい。

手に取ってみると、土の重みは感じるものの、決して重すぎず、女性の手にも収まりやすい形と大きさ。素朴で温かみのある器は作り慣れた普段のごはんによく似合う。気取らず使える宮下窯の器を毎日の食卓にぜひ。

宮下窯の器の数々




作陶家Profile
渡部久男さん/阿賀野市生まれ。幼い頃から土に触れる環境にいたため、モノ作りが好きになり、20代の頃、陶芸の道に。安田焼、会津本郷焼、笠間焼の窯元で10年ほど経験を積み、平成5年に開窯。陶芸教室も行っている。
店舗情報
店舗名 | 笹神焼 宮下窯 |
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住所 | 阿賀野市宮下968-4 |
TEL | 0250-63-2422 |
営業時間 | 8時~17時 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | 5台 |
備考 | 陶芸体験は事前予約で午前もしくは午後開催。1人1,500円(湯飲みが2~3個作れるほどの土量)。詳しくは電話にて要問い合わせ。 |
photo:中田洋介 <中田写真事務所>