■池田浩明さんインタビュー「ベーカリーめぐりをもっと楽しむヒント」

 

 

5軒のパン屋さんをめぐり、情熱的で真摯に仕事に向き合う職人たちを取材した池田さん。最後に、新潟のパン屋さんをめぐった感想を聞きました。

 

―新潟のパンの特徴は何か感じましたか?

「新潟はお米の県ですから、モチモチとした食感がみなさん好きなのかも。加水率の高い、しっとりした生地のパンが好まれているように感じました。パンは日常食ですからね。水分をたっぷり含んだ、流れるようになめらかな生地は見ただけで質感が分かります」。

 

―池田さんがパンに目覚めたきっかけは何ですか?

「就職した会社を辞め、フランスに住んでいた時期があったんですが、パン屋さんがあるとついチェックしてしまって、なかなか前に進めませんでした(笑)。そうしたらだんだんと、パン屋さんの匂いで好みかどうか分かるようになってきたんです。そこで、自分はパンが好きなんだな…と自覚しました。自然な素材を使っているお店の方が、いい匂いがするんですよ」

 

 

―池田さんがお店をめぐる時、心掛けていることは何ですか?

「僕はお店に入ったらまず、店内を何周もしてラインアップを見るんです。そして、そのお店にしかない、個性がある…言ってしまえば『ネタになる』ようなパンを探します。パンが放つ魅力を感じるイメージですね。あとは「ブーランジェリー」だったらバゲット、「ベーカリー」だったら食事パンに注目したりもします。職人が何を考え、どんなパンを目指しているのかを店名から読み取るんです。また、5,6個並んでいるパンの形がすべて同じだったら『あっ、丁寧な仕事をしている店だな』とか。目で見ただけで、さまざまな情報が入ってきますよ」

 

―池田さんがパンの取材を通して一番伝えたいことは何ですか。

作り手へのリスペクトに尽きます。人間活動に必要不可欠な『食べ物』を作るというのは、とても尊い仕事。パンは安くて庶民的、誰でも参加できる娯楽なのに、一つ一つが手作りである意味アートともいえるもの。職人の言いたいこと、頑張っていることを、代弁するような気持ちで取材をしていますし、見た方に少しでも伝われば嬉しいですね」

 

 


 

新潟Komachiのパン特集「おいしいパンめぐり」では、池田さんの取材・文章で、注目ベーカリーをたっぷりとご紹介しています。

まるで一緒にパンめぐりをしているような写真と、池田さんの軽快な文章で、パン屋さんの魅力を再発見してみてください。

 

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